雲仙・普賢岳 治山ダム建設、地元の不安を煽る工事現場
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長崎県が行っている雲仙・普賢岳の治山ダム建設で、現場内に高く積まれた土砂の山(写真参照)が、土砂災害の原因になることを懸念する声が地元からあがっている。
建設が行われている治山ダムは、普賢岳の溶岩ドーム(通称「平成新山」)の崩壊対策として、1999年7月から始まった「赤松谷治山ダム群」の1つ。地権者との交渉が難航したため、2006年3月以降、計画がストップしていたが、早期完成を強く望む地元住民の声があがり、ようやく昨年から残る3基の建設工事が始まった。工事が土砂災害の原因を作ったとなれば、まさに本末転倒である。
建設現場は、危険を防ぐために人の立ち入りが禁じられた警戒区域内にあり、建設機械を遠隔操作して行う無人化施工技術が用いられている。問題の土砂の山は警戒区域外からも見ることができるため、地元の不安を煽る結果となった。治山ダム建設を手がけた経験のある土木工事技術者は、「工事で出る土砂を現場外に持ち出さず、現場におくのは疑問。しかも、転流工(水の流れを変える仮設構造物)の下流にあり、場所が悪い」と、指摘する。
この工事を所管する、長崎県森林整備室の担当者は取材に対し、「過去、土石流が発生していない安全な所に置いている」とコメント。問題の土砂の山は、ダムのコンクリートを固めるための型枠として使うため、現在の場所に仮置きしているとの説明を加えた。また、地元で不安が高まっていることについては、「工事の進捗状況や、現在行っている工事の内容を(今年の)1月から月ごとに地元住民に知らせるように検討している」という。
この県側の説明について、地元関係者は、「長崎県では、『39年ぶり』という大雪の被害があったばかり。天変地異が多発する昨今、過去になかったからというのは理由にならない。そもそも危険な警戒区域内で、あえて土砂の山を築く手法をとることが問題だ。県に対して、強く抗議したい」と語る。
今にも崩れ落ちそうな約1億m3の溶岩ドームを見上げながら暮らしている地元住民の不安は大きい。その備えが、新たな不安を増大させる原因になってはならないはず。県側は、現状における安全性について、丁寧な説明を行うべきではないだろうか。
【山下 康太】
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