NetIB-Newsでは、日本ビジネスインテリジェンス協会理事長・中川十郎氏の「BIS論壇」を掲載している。
今回は10月24日の記事を紹介する。
国際通貨基金(IMF)は10月13日発表の『世界経済見通し』で、2026年の世界の経済成長率についてAI(人工知能)向け投資などが拡大すると予測し、3.1%へと上方修正した。長きにわたり低迷を続けるわが日本は中東紛争で影響を受けている中東・中央アジアの0.3%に次ぐ0.7%だ。世界平均の3.1%、先進国2.1%、米国2.3%、ユーロ圏1.2%に比べても先進国で最低で、躍進を続けるインドの7.0%、中国の4.5%に比べても、世界最低の成長率だ。
さらにIMFの見通しによると27年に日本のGDP(国内総生産)はインドと英国にも抜かれて、世界第6位に沈没するという。円安によるドル換算額の目減りや長引く成長の鈍さが主な原因だという。
日本は01年にWTOに加盟した中国に16年前の10年に抜かれ、世界第2位のGDP大国から3位に転落。23年にはドイツにも抜かれて4位に陥落。さらに27年にはインドと英国にも抜かれて世界6位に転落するとIMFは予測している。なかでも躍進著しいインドは人口の増加やインフラ投資が成長を支え、GDPは27年に4兆5,211億ドルに拡大。GDPでドイツに次いで世界第4位に浮上する見込みだ。さらに5年後の31年には6兆7,440億ドルに達し、米国、中国に次ぐ、第3位に浮上するという。
筆者が長年提唱しているCHINDIA(中国・インド時代)が5年後にはいよいよ本格的に動き出す。CHINDIAの時代を控え、日本としては中国との関係改善に取り組むべきだ。
だが、高市政権は関係改善に消極的で、日本の経済外交はこのままでは悔いを千載に残すのではないか。
日本は1990年代から40年近い長年の低成長が継続。従業員の給料も上がらず、一方、経営者は外国並みの億単位の給料を得ている実態も散見される。しかも国民総生産に匹敵する会社剰余金をため込み、従業員への給与増額に消極的であるばかりか、投資でもリスクを避け続けている。このままではGDP PER CAPITA(1人あたり国内総生産)28位に落ち込んでいる日本は、近い将来50位に落ち込むのも時間の問題だと思われる。
東南アジアでは日本のことを「年老いたGold Medalist」と呼んでいるそうだ。かつて80年代末から90年代始めに日本はGDPで世界第2位となり「Japan As No1.」と喧伝された。ここまで経済的地位が落ち込んでいるにもかかわらず、日本の政治家、役人、経営者は馬耳東風。真剣に対応を考えず、己の利得にうつつを抜かしているのではないか。
この際、世界の動向と日本のあるべき姿を100年の将来を見据え、再確立しなければ、日本の停滞、没落は避けられないだろう。軍備増強など戦前に回帰するような日本の現状下、日本の官民は今こそ日本100年の大計のために真剣に日本の将来図を描き、日本国民の安寧と幸せに官民こぞって邁進することを強く提言する次第である。
<プロフィール>
中川十郎(なかがわ・ じゅうろう)
鹿児島ラサール高等学校卒。東京外国語大学イタリア学科・国際関係専修課程卒業後、ニチメン(現:双日)入社。海外駐在20年。業務本部米州部長補佐、米国ニチメン・ニューヨーク開発担当副社長、愛知学院大学商学部教授、東京経済大学経営学部教授、同大学院教授、国際貿易、ビジネスコミュニケーション論、グローバルマーケティング研究。2006年4月より日本大学国際関係学部講師(国際マーケティング論、国際経営論入門、経営学原論)、2007年4月より日本大学大学院グローバルビジネス研究科講師(競争と情報、テクノロジーインテリジェンス)。









