マイナス金利を逆手~遠賀信金と熊本第一信金
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日銀が1月29日に発表した「マイナス金利政策」が16日から実施され、銀行の預金金利引き下げが本格化している。大手銀行の先陣を切って三井住友銀行が16日から普通預金の金利を0.02%から0.01%引き下げたのに続き、りそな銀行も18日から追従。今まではどの銀行も足並みを揃えていたが、今回はどうも動きが違うようだ。
銀行によっては預金が増えても、優良な貸出先が見つからず、金利負担が重くのしかかるからだ。多くの銀行にとっては「もう預金はいらない」というのが本音のようだ。そのようななか、マイナス金利を逆手にとって金利引き上げに挑む金融機関が出てきた。それは遠賀信用金庫(福岡県岡垣町)と熊本第一信用金庫(熊本市)の地方金融機関だ。
遠賀信金は、16日から個人向け1年物定期預金の金利(通常年0.025%)を年0.15%と6倍に引き上げた。但し、1人当たり300万円の上限を設定。総額30億円までとしている。
業務推進部に問い合わせたところ、「この3日間で2億円集まっており、販売は順調」という。続けて「日本銀行のマイナス金利導入で不安感を抱かれている地域の皆様に安心をお届けするために、金利上乗せを適用した『あんしん定期預金』を発売したもので、決して日銀の政策に反するものではなく、地域経済の活性化のためにむしろ日銀に協力していると思っています」との声が返ってきた。
また熊本第一信金も、10日から新規預け入れの1年物定期預金を対象に、子育て世代が多い50歳未満で年0.1%(50万円以上)、50歳以上で0.08%(100万円以上)の商品を販売。担当部に問い合わせたところ、「金額は申し上げられないが、順調に増加しています。今のところ総額に対して金額制限は設けていません」との回答があった。マイナス金利について
三菱UFJ銀行など5大銀行は、マイナス金利導入により、営業収益は8%前後の減益。国債など投資有価証券の比率が高い地方銀行などは、15%前後の減収との試算が出ている。
日銀は従来の量的・質的金融緩和を継続したうえで、マイナス金利政策を導入。「マイナス金利付き量的・質的緩和」として、国債を中心に資産を購入する「質」。大量の資金供給をする「量」。そして今回手に入れた「金利」。この3つの異次元金融緩和手段を駆使して、2%のインフレ目標の早期実現を目指そうとしている。
しかしよく考えてみると、最終的に負担を強いられるのは国民一人ひとりではないだろうか。100万円を一年間定期預金として預けても、利息は250円しか付かないからだ。確かに住宅ローンの借入金利は安くなるが、恩恵を受けるのはごく一部の人たちだ。消費税の10%への引き上げも予定されており、年金が唯一の収入である高齢者にとって何一つプラスのものがないのだ。
そのような一般消費者たちにとって今回2つの信用金庫の金利引き上げは、まさに朗報といえるのではないだろうか。【北山 譲】
▼関連リンク
・マイナス金利下に安心をお届けする『おんしん「あんしん定期預金」』発売のお知らせ(遠賀信用金庫)
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