生コン業界の改新で地元に貢献
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野方菱光(株) 代表取締役 林 宗一
画期的なアイディアの提供
長年、福岡地区の生コン業界をリードする野方菱光(株)。アウトサイダーへの対応など課題が山積みしているなか、林宗一代表は生コン業界に対して、まずは組合内の体質改善を急ぐことを提唱し続けている。その源は、同社の林代表の画期的なアイディアにある。その例として挙げられる1つ目は、2009年10月にスタートした福岡地区生コンクリート(協)の『サンマル・プロジェクト』である。これは、「30分で輸送、30分で打ち込み、30分の余裕」というスローガンで、生コンクリートを供給するという同協組のアクションプラン。これらの実現に先頭に立って尽力したのが、林代表である。
2つ目は、生コンの集中配送システムである。集中配送とは、まず生コンプラントが持っている車両を集中配送会社が一括して管理する。そして、生コン需要が増加しているプラントに車両を集中して送り込むのである。配送会社はプラントから1日いくらの定額料金ではなく、配送した量に応じた代金を請求することになる。これによって、輸送コストは固定費ではなく、練った生コンの量に応じた変動費に換わる。このシステムの採用で、約20~30%のコスト削減が実現されたという。生コンの集中配送システムの提唱は、林代表が先駆者である。
これらの事例はほんの一部で、旧態依然とした業界の体質改善に尽力する林代表のもとに、全国各地から多数の同業者が訪れ見学する光景が見られる。これらの本質は、自社(自分)の目線でのマネジメントでなく、他社(他者)の目線でのマネジメントを実践することである。それを自ら範を垂れているのが、林代表である。
地域貢献という使命
林代表は、「生コン業界は長年、日本工業規格(JIS)にあぐらをかいているのです。同規格をクリアしていれば、もちろん製品としての資格があるのですが、同規格に頼りすぎない姿勢で生コンづくりを実践していかねばなりません。もっと独自の製品開発に力を注いでいくことです」と、業界内に根強い『JIS至上主義』に対して、ことあるごとに警笛を鳴らしている。事実、同社の生コン製造は、建築・構造物の設計から関わり、高品質・高強度のコンクリートの提供を掲げている。同社は、『提案型の生コン工場』と表現し実践している。
林代表は、「これからの生コン業界は、『量の分配』から『利益の分配』をする仕組みにシフトしていかねばならないのです。集中配送もその1つです。輸送費を固定費から変動費に転じることで、製造側の損益分岐点が改善され、限界利益を上げられます。どの工場から出荷しても、公平に利益を分配することができる仕組みです。これを組合が率先して推進していけば、適正価格を決められます。複数の工場を持つ企業が自社でモデルをつくっていくことは、やっていかなければならないと考えます」と、これからの生コン工場のマネジメントについて語る。
一方で、東日本大震災の発生後、「国と地域の存亡の危機に対し、自らができることで貢献する」と決意し、12年1月には、自社のミキサー車を従えて、仙台・石巻・気仙沼・南三陸にて生コン輸送の事業を開始。復興までにあと3~4年かかるとされているが、そのときまで、同事業を継続する。
福岡地区生コンクリート協同組合のエリアは、アウトサイダーへの対応など課題が山積している。生コン業界の体質改善により、そして各工場が健全な経営が出来るように林代表は、尽力している。
※記事内容は2015年8月31日時点のもの
<COMPANY INFORMATION>
野方菱光(株)
代 表:林 宗一
所在地:福岡市西区大字飯盛425-1
設 立:1978年5月
資本金:4,030万円
TEL:092-812-0988
URL:http://www.e-nokata.com<プロフィール>
林 宗一(はやし むねかず)
1958年5月、福岡市生まれ。福岡大学卒。82年12月、代表取締役社長就任。関連キーワード
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