「圧倒的福岡時代」に挑戦~高島市長の市政報告
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福岡市の高島宗一郎市長は28日、同市のホテルニューオータニ博多で市政報告会(政治資金パーティ)を開いた。「圧倒的福岡時代」。今年初めに掲げたこのキャッチフレーズを実現するためのアウトラインとして示されたのが都市計画、いわゆるまちづくりの方向性だ。福岡には今、勢いがある。これをチャンスと捉えて、さらに成長してアジアのリーダー都市を目指す。「今こそ未来の夢を描くとき」と胸を張る姿から、政令市人口増加率1位、経済のプラス成長などの実績を根拠とした自信を伺わせる。しかし、何度も口にする「成長」がこれからも続いていくかどうか分からない。リーマン・ショックや東日本大震災を経験した今、予想もできない突発的な事態が全てを変えてしまうことを我々は知っている。そうしたリスクに備えているという言葉は最後まで聞かれなかった。
高島市長が「FUKUOKA NEXT」と題した施策は4つ。国から混雑空港に指令された福岡空港を改善し、さらなる航空需要の掘り起こしを図る。天神地区の民間ビル30棟を10年間で建て替える「天神ビックバン」。国家戦略特区による規制緩和で民間のメリットを大きくすることで、建て替えを促進する。「ウォーターフロントネクスト」は港湾の再開発事業だが、その柱としているのはクルーズ船とMICE施設。クルーズ船の来航は大きな経済波及効果をもたらしている一方、港湾施設が追い付いていないことが問題であるとして、MICE施設とターミナルを一体化して整備することを提唱した。九大箱崎キャンパス跡地については具体的な内容に関する発言はなかったが、「一からまちを作ることができるめったにない機会」とスマートシティ開発の方針を明示した。
こうした施策はいずれも成長が持続していくことを前提としている。「どうしてそこまで成長にこだわるのか(というと)、少子高齢化が進めば税収は減るが、支出は増える。そのための財源を生み出す仕組みが必要(だからだ)」。つまり都市が成長すれば生活の質も向上する。規制緩和で高めた民需は税収増をもたらし、それを福祉に回すという考え方だ。既に小中学校のエアコン整備、高齢者タクシー乗車券利用、子ども医療費の助成制度などを実施しており、循環が始まっているとして「少子高齢化への挑戦」を高らかに歌い上げた。しかし、最近注目されている待機児童の解消に関する発言はなかった。
「2020年の東京オリンピック・パラリンピックが終わった後をどうするか。福岡が日本全体のイニシアチブをとっていく」。かつて途上国と呼ばれていた国は世界の成長エンジンとなっており、地理的にアジア各国の主要都市と近い福岡市は有利な立場にある。さらに大規模な災害のリスクが小さく、万が一の事態が起こった際にも福岡は拠点機能を維持することができるという。「福岡市には安曇族、博多商人、日宋貿易など400年ごとに栄えた福岡時代があった。まさに今はその福岡時代を迎えている。これを一過性の成長に終わらせず、アジアのリーダー都市にしていく。そんな『圧倒的福岡時代』にチャレンジしていきたい」。その意気やよし。しかしリーダーたる者、常にその身を律していなければならない。高島市長は本当にその資質を備えているか。我々メディアは注視していく必要がある。
【平古場 豪】
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