下関ゴルフ倶楽部総会~裁判所が検査役(5)
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過去の総会とは違い、今回は議長席を挟んで執行部側と一般会員が、真正面から向かい合って対決することになった。執行部側に並ぶ再任の理事候補13名(2名欠席)のうち、福田理事長を除く12名は、目の前で繰り広げられる舌戦を、ただ黙って聞くしか術がなかったといわれる。
下関ゴルフ倶楽部は、大洋漁業(現マルハニチロ)のオーナーだった中部利三郎氏が1956年(昭和31年)7月22日、9ホールで開場。4年後の1960年10月10日に18ホールとなり、60年の歴史を持つ名門ゴルフ場となった。その後下関発祥の大洋漁業は西部支社を閉鎖。理事長ポストを伊村光山口銀行頭取(当時)に譲り、以後20年以上にわたり田中耕三氏、福田浩一氏と三代にわたって、山口銀行頭取が理事長職を世襲しているのだ。
下関ゴルフ倶楽部副理事長の中部哲二氏は、林兼産業(株)の専務取締役であり、創業家一族である。本来理事長であってもおかしくない経歴の持ち主であり、むしろ福田理事長が大政奉還しておれば、こんな騒動に発展しなかったのではないだろうか。再任理事候補として執行部席に座り、改革派と対立する総会をただ眺めるしかなかった胸中は、察するに余りある。
一方退任する理事は、山口合同ガス(株)会長の林泰四郎氏(72歳)、安川電機(株)の特別顧問であり、北九州商工会議所会頭の利島康司氏(74歳) 、宇部興産(株)常勤監査役の久保田隆昌氏(59歳)の大物3名。
林会長は永らく理事を務めての退任であり、後進に道を譲るためという理由なら、円満退任といえるかもしれない。しかし利島氏と久保田氏の二人は、わずか一期2年での退任である。二人の下関ゴルフ倶楽部入会は共に2年前の平成26年3月。入会と同時に理事に就任するケースは、別表(1)の入会年月を見れば、異例中の異例であったことが分かる。
山口銀行は九州の営業権を譲渡し、2011年10月2日に北九州銀行(本店:北九州市小倉北区)を設立。そのため北九州商工会議所会頭である利島氏に懇請し、理事に就任してもらったというのが真相だろう。にもかかわらずわずか1期で退任することになったのは、執行部と会員とが相争い、裁判となっていることに嫌気したものと推測される。
また宇部興産の久保田監査役も1期で退任。宇部興産の子会社である宇部興産開発は宇部72カントリークラブを経営しており、下関ゴルフ倶楽部の騒動に巻き込まれることを恐れて、退任したものと見られる。
双方が対立するなか、決議事項の採決に入った。執行部原案の第1号議案「貸借対照表及び損益計算書」、第2号「議案の理事選任」は可決され、改革派による社員提案の第3号議案の「年会費の改定」、第4号「幹事2名の選任」は否決された。
2時間40分に及ぶ荒れた総会は終わったが、総会が正当に成立したのか。また無効とされた90票の取り扱いについては、今後司直の判断に委ねられることになった。
いずれにせよ、下関ゴルフ倶楽部の執行部と「下関ゴルフ倶楽部を愛する会」との紛争は、関門地域だけではなく、全国のゴルフ場関係者に、大きな波紋を投げかけることになりそうだ。
(了)
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