韓国経済ウォッチ~韓流と韓国化粧品の躍進(前)
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日韓ビジネスコンサルタント 劉明鎬(在日経歴20年)
今年の2月24日から4月14日まで、16回にわたって放映された水木ドラマ「太陽の末裔」は、韓国では30%近い高視聴率を記録し、話題になっている。このドラマの主人公であるソン・ジュンキは、その後、いろいろな商品のコマーシャルに登場しているほか、ドラマの主題曲もあちこちで聞えるようになっているため、いかにこのドラマの人気が高かったのかは、すぐ想像できる。
「太陽の末裔」は、韓国と中国で同時放映されたが、中国でもこのドラマの人気は、爆発的であった。このドラマは中国(400万ドル)をはじめ、日本(160万ドル)など32カ国に輸出されている。韓国輸出入銀行の推算によると、「太陽の末裔」の直接・間接的な経済効果は、1兆ウォンに上ると言われている。
このドラマの人気で、 韓国では「もう一度韓流ブームが巻き起こるのではないか」と密かに期待を寄せている。なぜかというと、ドラマがヒットをすると、ドラマに登場する俳優に親近感を覚えるようになり、俳優が着ている衣服をはじめ、飲料や食品、それから化粧品など、韓国商品の好感度は一気にアップするからだ。韓流は、最初は韓国のドラマから始まり、その後はK-Popを中心に展開されたが、最近になって韓流の核として化粧品(K-Beauty)が 浮上しつつある。韓流のおかげで最近急浮上しつつある、韓国の化粧品業界について、今回は取り上げてみよう。
リサーチ&マーケットの調査によると、化粧品の世界市場規模は、2014年で4,600億ドルであり、毎年6.4%ずつ成長し、2020年には6,750億ドルになると予測されている。
韓国の化粧品産業は、ここ数年間で飛躍的に成長し、世界11位になっている。このような成長に触発され、韓国政府も化粧品産業を主要輸出産業として位置づけ、今後、韓国の化粧品産業を世界7位にまで育成していくという計画を持っている。
韓国の化粧品は、十数年前までは赤字品目で、輸出よりも海外からの輸入が多かった。しかし、数年前から様子は一変。15年の化粧品の輸出額は29億3,477万ドルで、輸入の8億9,411万ドルを差し引くと、12億1,628万ドルの黒字を記録している。
輸出のなかでも、とくに中国への輸出額は11億9,520万ドルで、前年対比99.9%の成長を示している。化粧品産業が恒常的な赤字体質から黒字に転換できたのは、中国の特需が大きく寄与している。そのため、今後の中国の動向は、韓国の化粧品業界にとってはとても大事な要素になる。中国は約14億人の人口を抱えており、化粧品市場としては大きな発展の可能性を秘めているからだ。
とくに、所得が向上すると、化粧品市場はそれとともに大きくなるため、中国市場のポテンシャルはとても大きい。中国は現在、まだ人口の10%しか化粧品を使っていないし、15年から20年の化粧品産業の予想成長率も毎年10%で、今後の伸び代は非常に大きい。だが、このような魅力的な市場であるだけに、グローバル会社もすでに参入しているし、競争も激しい。
現在、中国市場でのシェア1位はP&G(12.6%)で、2位はロレアル(9.1%)、3位は資生堂(3.6%)である。韓国企業のなかでは、アモレパシフィックとLG生活健康が最近急激にシェアを伸ばしているが、それでも、業界最大手であるアモレパシフィックの中国シェアは1.4%である。
アモレパシフィックの今年第1四半期の売上高は1兆4,438億ウォンで、前年同期比で26.7%の成長をしているし、営業利益も3,207億ウォンで、去年に比べ49.9%も成長している。
このような爆発的な成長の背景には、中国人の観光客による免税店での爆買いがある。アモレパシフィックは、免税店の売上だけでも、15年にすでに1兆ウォンを超えている。アモレパシフィックは中国での成長を加速させるため、14年10月に上海に工場も建設。同社は中国だけで、3兆3,000億ウォン以上の売上を達成することを目標としている。(つづく)
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