2024年12月24日( 火 )

【名門・筑女の異変】異教の新理事長誕生は辞任要求への反撃か?(後)

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退任する理事長が理事会を刷新

kaigi-min 学内で辞任を求める声が強まるなか、笠氏は6月10日に任期満了で理事長を退任する。一件落着かと思いきや、事態はさらに悪化していると関係者は指摘する。「笠氏は最悪の置き土産をしていった。自分に理事長解任を突きつけようとした反理事長派の理事を駆逐し、理事会内を理事長派で固めたのだ」。追い詰められた笠氏の反撃は、6月10日の理事会で実行された。当日の理事会は、笠氏を含む理事長派6名、反理事長派6名の計12名(理事は全部で14名)が出席。反理事長派の理事を入れ替える人事は6対6で賛否同数となり、ここで笠氏が議長決裁権を行使し、可決としたという。

 この時の理事会運営については疑問点がいくつかあり、一部の反理事長派の元理事が無効確認訴訟を準備中との話も聞く。疑問点の1つは、笠氏の投票行動にある。笠氏は、最初の表決で理事として1票を賛成に投じている。議長決裁権の行使は、すなわち議長として1票を投じること。つまり、笠氏は1人2役で同じ議題に2票投じたことになる。

 議長決裁権については、結果的に議長が2票投じることを認める説と認めない説がある。日本の国会の両院議長や委員会の委員長、地方自治体の議会の議長などは表決には加わっていないが、同学園の寄附行為は第21条13項で、評議員会の議長が評議員として議決に加わることを禁じているものの、理事会の議長について同様の規定が見当たらない。

 そもそも理事の選任については、「理事総数の3分の2以上の賛成」が必要な特別決議にあたるとも考えられる。私立学校法第30条は、「役員(理事および監事)の定数、任期、選任及び解任の方法その他役員に関する規定」を所轄庁の認可が必要な事項と定めている。すなわち同法人の業務に関する重要事項であり、寄附行為第18条に定められた特別決議が必要な事項となる。

 もちろん新しい理事会のメンバーには長谷川氏も含まれており、新理事長に就任した。ただし、寄附行為の原則に違反しない浄土真宗の僧侶もいるなかでの長谷川氏の抜擢に驚きの声が上がっている。この理事会人事は「笠氏復活の布石」とも見られており、笠氏の理事復活あるいは長谷川氏を通じての”院政”が行われることも考えられている。

 一方、「最初は理事長派だった理事も、笠氏のやり方に問題意識を持つようになり、反理事長派に転じてきた。また同じことが繰り返されるだろう」(学校関係者)と、新理事会を冷やかに見る声も。異教の長谷川新理事長のもと、名門「筑女」がどのように運営され、創立110周年を迎えるのだろうか。しばらくは混乱が続きそうである。

【山下 康太】

 
(前)

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