熊本地震を教訓化、福岡県内でも震災対策始まる
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熊本地震の前震発生から7月14日でちょうど3カ月。熊本県によると12日午後1時現在までに発生した震度1以上の有感地震の回数は1,880回を数え、死者は75人(関連死含む)に上る。避難者数は4,760人とピーク時の4%程度まで減ったものの、逆に言えば3カ月経ってもまだ5,000人近い人たちが自宅に戻れない状況が続いている。
福岡県内で熊本地震と同規模の地震が発生した場合の対策はどうなっているのか。福岡県議会6月定例会で自民党福岡県議団の松尾嘉三県議は代表質問において「発生から72時間は人命最優先の観点から救助救急に全力を尽くしたために避難所等への支援が手薄になったと考える」とし、熊本地震の被災者支援に当たった経験も踏まえ、地震に備えて支援を受ける体制を事前に整えておく必要性を訴えた。松尾県議の質問に対し、小川洋知事は受援体制づくり、上下水道施設の耐震化の現状、水道事業者の広域化の進捗状況を明らかにした。
熊本地震では届いた支援物資が避難所に行き渡らない問題が起こった。このため、支援を受ける側が事前に準備を整えておく受援体制づくりが求められている。福岡県は関係部署でつくる「平成28年熊本地震検討プロジェクトチーム」を立ち上げ、円滑に支援を受けるための受援計画の策定に向けた検討を始めた。今後は県や市町村、物流業者らが参加して、支援物資を避難所に滞りなく届けるための訓練を実施するとしている。さらに熊本地震の教訓をもとに、車中泊など多様な避難形態への対応や備蓄のあり方を盛り込んだ防災計画の見直し、県民向けの防災の手引きの作成も進めていく。
また、熊本地震の被災者を苦しめたのが水道施設の損壊による断水だった。2015年3月末時点における福岡県内の基幹水道管路の耐震適合率は34.1%で、熊本県の25.4%よりは上だったが全国平均の36.0%を下回った。浄水場は全国平均と同じ23.4%。配水池は全国の49.7%を上回る53.9%となっている。水道事業者らに老朽化対策など施設改修の方針を立てさせる地域水道ビジョンは、54の業者のうち今年3月までに28事業者が策定を完了。残る26業者についても、5業者が今年度内に策定する予定となっている。
水道事業者の広域化は、県内を7ブロックに分けて昨年から実務者レベルの検討会を開催。人口減にともなう料金収入の減少から老朽化が進む施設の改修が難しいこと、技術者の高齢化により技術の継承ができなくなっているなどの意見が上がっているという。田川地区水道企業団が1市3町の垂直統合を目指して統合準備会を設置しており、県でも速やかな事業統合のために支援していく方針。小川知事は「事業統合は経営判断なので簡単ではないが、県としては広域化を進めていきたい」と語った。
【平古場 豪】
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