韓国化粧品の成長は続くのか?(前)
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日韓ビジネスコンサルタント 劉明鎬(在日経歴20年)
景気が低迷しているなかでも、株式市場で高い成長が期待され、注目を集めている産業と言えば、韓国では製薬&バイオと化粧品である。韓国では今まで、鉄鋼や造船、石油化学、自動車、半導体など、重厚長大な産業が国を支えてきた。だが中国の台頭によって、このような業種は競争が激しくなり、成長に陰りが見えてきた。もちろんこれらの分野にも、今後イノベーションによって、もっと付加価値を生む道はあるだろう。その一方で、中国よりは技術的に一歩進んでおり、世界を相手にビジネスができ、高い利益率を確保できる製薬やバイオ、化粧品分野に、韓国の企業は邁進している。
最近、「韓米薬品」という製薬会社は、グローバルな大手製薬と立て続けに大きなライセンス契約を締結することになり、市場を盛り上げている。韓米薬品は、現在の会長が薬局から事業をスタートし、大手製薬会社に育て上げた稀なケースである。
韓米薬品は過去15年間、新薬の研究開発に9,000億ウォンを投資し、研究開発に勤しんできたが、その成果が現れつつある。韓米製薬はフランスの製薬会社であるサノフィ社と、何と40億ユーロのライセンス契約を締結したと発表した。今回、ライセンス契約した新薬は、糖尿病の薬効を持続させる技術が使われているようだ。それによって、インシュリンを投与する回数と量を減らすことができる効果があるという。
そのほかにも、韓米製薬は米Spectrum Pharmaceuticals社とライセンス契約を(契約金額未公開)、イーライリリー社とは6億9,000万ドルの契約を、ドイツのベーリンガーインゲルハイム社とは7億3,000万ドルのライセンス契約をそれぞれ締結している。
韓米製薬が進めている新薬開発候補は23もあって、今後、まだまだ成果が続くことが予想されている。新薬の開発には莫大な資金と15年くらいの歳月が必要であるが、それが成功した暁には、それ以上の回収が見込めるため、その可能性にかけて新薬開発に挑む会社も多くなっている。ただ、新薬の開発には莫大な資金が必要になるため、誰でもチャレンジできる世界ではない。それよりは、少ない資金でチャレンジできてかなりの利益を確保でき、残された数少ないブルーオーシャン産業の1つであるバイオ分野に、多くの韓国企業は目を向けている。最近では、「バイオにしか投資してくれない」という冗談が流行るほど、韓国ではバイオ分野に対する期待が高い。
バイオにも前出の韓米製薬のような成功事例がすでにあり、市場を牽引している。
「セルトリオン」という会社は、バイオシミラーで大きな成功を収めている。セルトリオンは今年の2月10日に、ヨーロッパに次いでアメリカでも販売ができるように、FDA(米国食品医薬品局)の承認がおりた。セルトリオンの創業者はバイオを専攻した人物ではないが、バイオが有望であるということだけでバイオ産業に参入し、年平均利益成長率80%を成し遂げた企業である。
セルトリオンは、シンガポール政府傘下の投資会社であるテマセク・ホールディングスから投資を受けて設立された。その間、粉飾会計の疑惑など紆余曲折はあったが、それを乗り越えて成功している。セルトリオン以外にも、サムスングループもバイオに参入し、猛烈なスピードで成果を出している。セルトリオンの時価総額は13兆ウォンになっているし、今後、IPO(新規公開)が予定されているサムスングループのバイオ会社も、時価総額は10兆ウォンを超えることが予想されている。
(つづく)
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