オリンピックとゴルフ
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史上初めて南アメリカ大陸で開催されたリオデジャネイロオリンピックは、数々のドラマを残して閉幕しました。始まる前は治安の問題やジカ熱、施設の工事が間に合うのかなど多くの問題が懸念されていましたが、日本選手団の大活躍もあり、大変盛り上がった大会になった気がします。水泳・柔道に始まり、卓球・体操・レスリング・バドミントンとメダルが期待された競技で、下馬評通りのメダルラッシュ。そして陸上男子4×100Mリレーでは銀メダルを獲得し、世界を驚かせました。今回、メダルを獲得した半数の選手たちが20代前半から10代の選手ですから、4年後の東京オリンピックではさらなる飛躍が期待されます。
ところ、でこのリオ・オリンピックから112年ぶりにゴルフが正式競技に復活しました。個人的には大変注目していたのですが、盛り上がりはイマイチでしたね。とくに男子は、世界のトップランカーが相次いで出場辞退ということも影響したと思います。しかし、たとえ彼らが出ていたとしても、この印象はあまり変わらなかったのではないかと思いました。やっぱり他の競技と比べると、オリンピックへの想い、そして金メダルへの覚悟というものが弱かったように感じたからです。
そもそもオリンピックでの金メダルとメジャートーナメントのタイトル、どちらが欲しいかと聞かれたら、ほとんどのトッププロはメジャータイトルと答えるはずです。逆に、他競技の選手たちにとってオリンピックの金メダルは目標の頂点。そのギャップは見るものにも伝わります。
しかしながら僕は、決してゴルフをオリンピックから外したほうがいいと思っているわけではありません。オリンピック種目になることで、もっと多くの方にゴルフというスポーツの素晴らしさや魅力が伝わる可能性が広がるわけですから、大歓迎です。ただ、やり方を考えるべきだと思います。いっそ出場はアマチュアゴルファーに限定するとか。でもそれだとスポンサーが離れ、それこそ除外の対象になりかねません。ならばプロでも23歳以下という年齢の制限を設けてはどうでしょうか。オリンピックという舞台から若いスターが生まれる可能性も出てきますよね。
同じようにプロツアーでのメジャー大会があるテニスは、1対1の勝負なので相手に勝ちたいという気持ちが伝わりやすく盛り上がります。そう考えると、ゴルフもマッチプレーにするべきかもしれません。ちなみにテニスで銅メダルを獲得した錦織選手は、今回が3度目のオリンピック。メダルを獲得してツアーではめったに見せない涙を流す姿が印象的でした。4年に一度のオリンピックという舞台は、選手たちの4年分の思いの深さによって見るものに与える感動の大きさが変わってくるのかなと思います。
日本では、ゴルフのプレー人口が減少していると言われています。また世界でも大手メーカーのテーラーメイドが売りに出され、ナイキがクラブ生産事業から撤退と、未来に向けて不安要素を抱えています。そうしたなかオリンピックは、そんなゴルフの魅力を世界中の人たちにアピールできるまたとない舞台です。次の東京オリンピックに向けてどう改善できるか。ゴルフ界は、大きな宿題をもらった気がします。
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信川 竜太 (のぶかわ りゅうた)
1971年3月27日生まれ。(株)スリーバーズ代表取締役。スポーツキャスター、DJ、MC、リポーターとしてスポーツを中心にテレビ、ラジオなどで活躍中。その一方で、ゴルフコーチとしても活動している。信川氏がゴルフの道を志したのは福大大濠高校1学年時。卒業後、フロリダ州ブロワードジュニアカレッジに入学(のち、フロリダ・リン ユニバーシティーに編入)。在学中、トーナメントでタイガー・ウッズの上位に入る結果を残した。2006年1月に(社)日本プロゴルフ協会 PGAゴルフティーチングプロの資格を取得。10年10月、福岡市東区多の津にスポーツ塾を開講した。関連キーワード
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