2024年11月16日( 土 )

東京都市圏の高齢者医療に寄与、回復期医療の礎を築いた救急病院(前)

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社会医療法人財団 池友会 福岡和白病院

現代医療に求められるものをすべて先駆ける

蒲池 真澄 理事長<

蒲池 真澄 理事長

 社会医療法人財団池友会福岡和白病院は、一般社団法人巨樹の会、学校法人福岡保健学院、医療法人社団緑野会を束ねるカマチグループの中核病院。設立は1974年。カマチグループ会長でもある蒲池真澄理事長が山口県下関市に病床19床の下関カマチ病院を開設したのが始まりだ。蒲池理事長は開設当初から何よりも患者のためになる医療の提供を最優先とし、現在は「手には技術、頭には知識、患者さまには愛を」を理念に掲げグループ全体を牽引している。

 現在でこそ、全国でもトップレベルの救急医療体制が整う福岡県だが、70年代はまだ救急対応ができる病院が限られていた。高度経済成長期とともに交通事故も増えた時期ではあったが、負傷者への治療が間に合わず、死に至る確率も高かった。そのような時代に積極的に救急医療体制を整え、救急患者を受け入れ始めたのが同院だった。山口県警の職員が年間の死亡者人数を顧みて「明確に分析していないので断定はできないが、下関カマチ病院ができて、死亡者が減ったのは確か」と語ったという逸話も残っている。

 看護師育成に非常に熱心に取り組んだことでも知られる。まだ一般的に看護師の重要性が理解されていない時代ではあったが、蒲池理事長の良き片腕ともいうべき橋本スエ子看護部長が、看護師と准看護師の業務や患者のためにできることの違いなどを明示し、看護師教育の重要性を説明。これに共感した蒲池理事長とともに看護師教育に尽力した。当時、同院に勤務していた看護師の卵たちは、学校で学んだ後、蒲池理事長や先輩看護師たちから専門知識について毎日質問されたそうだ。「毎日、テストを受けているようなものでしたが、その教育熱心な風土のおかげで優秀な成績で国家試験に合格することができました」とも語る。現場に出てからも、橋本看護部長や蒲池理事長に鍛えられた知識や実践指導が大いに役立っている。その後、下関カマチ病院は、特定医療法人財団池友会として北九州市に小文字病院(現・新小文字病院)を開設後、下関第一病院と改称した。その後池友会は、福岡市東区和白に和白病院(現・福岡和白病院)を開設。下関第一病院を下関リハビリテーション病院と改称。日本最大のリハビリテーション病院グループとして大きな発展を見せる巨樹の会の母体となった。

マンパワーを強化し、全国区の病院グループへ

 蒲池理事長は患者のために医師と看護師が同等に協力し合う体制を重視し、医師にも看護師との協力体制を厳しく求め続けた。もちろん看護師にも医師に患者のために成すべきことを理路整然と説明できる力を備えることを求めてのことだ。病院は医師を中心として在るのではなく、患者を中心として在るという視点に立って現場を見れば、医療も看護も等しく大切なもの。同じことは医療とは区別されていた理学療法や作業療法にも言えた。

 蒲池理事長は「救急医療で患者の命を救った後は1日でも早く在宅復帰できるようにしてあげたい」という一心で、術後の早期リハビリテーション体制を強化した。今でこそ「チーム医療」「回復期リハビリテーション」という言葉も当たり前のように人々の口に上るが、同院は制度化される前からごく当たり前のこととして、現代が求める患者中心の医療体制を築いてきた。
 治療から看護、そして療法へという3本の柱を立て、それらをつなぐことに早くから取り組んできた同院。看護師と療法士養成教育には学校を創立して一から育て上げられる仕組みをつくり、医師に対しては入局後、同院の方針になじんでもらえるよう指導した。

 現在、福岡和白病院を訪ねると、医師たちは皆、大部屋で、診療科目で垣根をつくることなく机を並べている。後に蒲池理事長は、カマチグループの会長として「僕は医師というより、哲学者であり教育者だからね」と語ることになるのだが、確かに教育と哲学のもと、皆が平等という姿勢はグループ全体に貫かれており、やがてこの原動力が力強いマンパワーとなって、グループの規模を全国区に広げていくことになった。

(つづく)

<INFORMATION>
理事長:蒲池 真澄
所在地:福岡市東区和白丘2-2-75
創 立:1978年12月
資本金:1億1,522万円
TEL:092-608-0001
URL:http://www.f-wajirohp.jp/

<プロフィール>
kamati_pr蒲池 真澄
1940年4月福岡県八女郡黒木町生まれ。59年、福岡県立修猷館高校卒、65年九大医学部卒。カマチグループ会長として4法人を牽引する他、カンボジア・シェムリアップへ病院を寄贈するなど、国際的な医療貢献も行う。

 
(後)

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