2024年11月28日( 木 )

拙速な承認をしてはいけないTPP!

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 NetIB-Newsでは、政治経済学者の植草一秀氏のブログ記事から一部を抜粋して紹介する。今回は、秋の臨時国会最大の案件とされているTPP承認案について、拙速な承認はしてはいけないと持論を展開した10月4日付の記事を紹介する。


日本人研究者のノーベル賞受賞の報が届いた。暗いニュースの多いご時世。明るい話題は人々の心を和ませる。研究者にとって、研究の業績が広く社会から認知され、高い評価を得ることは大いなる喜びである。研究者でもアスリートでも、永年にわたる努力の蓄積が大きな結果につながることは、大いなる励みになる。

しかし、社会的な評価と人物の価値が常に一致するとは限らない。社会的には高い評価を得ていなくても、十分に価値ある仕事を積み重ねている人は無数に存在する。私たちは、社会的評価という一種の色眼鏡を通してものごとを見るのではなく、自分の目と耳と心によって、ものごとの本当の価値を見出す必要がある。

ノーベル賞を否定する気はさらさらないが、ものごとの本当の価値は、特定のかたちにあるのではなく、ものごとのそのもの自身にあることを知っておく必要があるだろう。

秋の臨時国会が召集されて補正予算審議が行われている。補正予算審議と言っても、補正予算の内容を改変するための審議ではない。一定の審議時間が経過すると採決が行われ、多数議席を占有している与党が政府案を承認して予算が決まる。予算審議とは形式的なものに過ぎない。

重要なことは、その審議を通じて、政府のさまざまな問題点が浮き彫りにされることだ。この臨時国会では、TPP承認案が最大の重要案件であるとされる。TPPは12カ国で協議され、本年2月4日に合意文書に署名が行われた。この最終合意を交渉参加国が国内手続きを経て承認して、初めて発効される。

発効には条件があり、2年間に最低6カ国が承認し、かつ、その承認国のGDP合計が域内GDP全体の85%以上を占めなければならない。この条件がクリアされないと、TPPは幻に終わる可能性もある。

日本と米国のGDPは域内合計値の15%を上回っているため、日米2カ国のいずれかがTPPを承認しない場合、TPPは発効しない。米国では現在大統領選が行われているが、民主党のクリントン候補、共和党のトランプ候補は、いずれもTPP反対の見解を表明している。

オバマ大統領は批准に前向きだが、承認するかどうかの判断を下すのは議会である。現在、米国議会では上下両院の過半数を共和党が占有しているため、共和党の意向が重要だが、議会運営の鍵を握る議会議長や各院の院内総務がオバマ政権下でのTPP批准は困難との見方を示しており、来年1月で終了するオバマ政権の任期中に米国がTPPを批准する可能性はほとんどない。

新大統領が就任する明年2月以降も、クリントン氏、トランプ氏のいずれが大統領に選出されても、TPPの早期批准は困難であると見られている。この情勢を踏まえて日本は対応を決めなければならない。

トランプ氏はTPP反対を明確に示している。トランプ政権がTPP批准に進む可能性は極めて低い。他方、クリントン氏は大統領に選出されれば、TPPの内容を修正したうえでTPP承認に進むのではないかと見られている。この場合、TPP最終案は現在の合意文書とは異なるものになる。

したがって、現時点で日本はTPPを承認するべきでない。承認してはならないと言える。TPPは日本を完全に米国化してしまう制度、枠組みであり、日本は安易にこの協定に参加してはならない。日本にTPP参加は日本国民に計り知れぬ大損失を与えることが間違いなく、日本のTPP参加は完全に誤った選択である。

ところが、この重大事実が十分に国民の間に浸透していない。その浸透していない間に、国会でこれを承認してしまおうというのが安倍政権の判断である。危険極まりない。

こうした現状に対して、主権者が意思を示してTPP拙速批准を阻止しなければならない。通常国会に続いて、臨時国会においても議員会館および議員会館前でのTPP批准阻止水曜行動が実施される。

10月5日(水)~11月30日(水)秋の定例国会行動(11月23日は中断)
午後5時~午後6時・国会報告と意見交換(議員会館内会場)
午後6時半~午後7時半・議員会館前抗議行動
(ただし、10月19日は総がかり行動のため、いずれも1時間前倒しになります)

場所
10月5日(衆院第2議員会館多目的会議室)
10月12日(衆院第2議員会館第一会議室)
10月19日(衆院第1議員会館多目的ホ-ル)
10月26日(衆院第2議員会館第一会議室)
11月2日(衆院第2議員会館多目的会議室)
11月9日(衆院第2議員会館多目的会議室)
11月16日(衆院第2議員会館多目的会議室)
11月30日(予定:衆院第1議員会館多目的ホ-ル)

衆院議員会館へは地下鉄千代田線・丸ノ内線の国会議事堂前1番出口から数分で行くことができる。

また、10月15日(土)の午前11時半からTPP批准阻止1万人行動が予定されている。

午前11時半~正午 プレイベント
正午~午後1時15分 中央集会
午後1時半~午後4時(最後尾) 銀座デモ
・会場:港区芝公園23号地

※続きは10月4日のメルマガ版「植草一秀の『知られざる真実』」第1556号「激増する五輪国民負担は深刻な政治詐欺だ」で。


▼関連リンク
・植草一秀の『知られざる真実』

 

 

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