2024年12月19日( 木 )

崖っぷちに立たされた韓国経済(後)

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日韓ビジネスコンサルタント 劉明鎬(在日経歴20年)

 韓国経済はこのような構造的な問題以外に、短期的な悪材料も抱えている。

 韓国GDPの約2割を占めているサムスンの、ギャラクシーノート7のリコールは、その1つである。国内外で発火が報告され、サムスンはバッテリーの交換で応じようとしたが、その後も発火が相次ぎ、結局、リコールを決定することになった。韓国のマスコミの報道によると、機会損失まで含めると、サムソンの損失は7兆ウォンに膨らむと言われている。
 問題は、まだ発火の原因が明確に突き止められていないことだ。サムスンは今回の失態でも、幸い半導体の業績が良く、グループ自体は大きな痛手を受けることはなさそうだ。しかし、サムスンと取引している中小企業の場合には、深刻なダメージがあるとのことだ。

 これだけでも、韓国経済に与える影響は大きいが、韓国を代表するもう1つの企業である現代自動車も、ストとリコールで揺れている。
 賃上げ交渉が決裂したことで、現代自動車の労組は9月26日、全面ストに入った。現代自動車が全面ストに入ったのは、2004年以来12年ぶりである。現代自動車の労組は、今年だけでも19回の時限ストを実施している。このようなストで発生した損失額は、2兆ウォンに上るとされている。
 それだけでなく、現代自動車ではエンジンの不良が見つかり、訴訟費用が発生しそうだ。対象の台数は88万5,000台で、最悪の場合にはリコールになりかねない状況のようだ。現代自動車では、今のところ部品の交換などで対応できると判断しているが、事態がどのように拡大するかは予断できない。交換・修理で済むにしても、費用は3兆ウォンくらいになるだろうと一部では推計している。

 韓国経済は構造的な問題を含め、直近ではこのような問題が浮上し、対応を迫られている。

 韓国経済が直面している問題は、世界経済の不況より競争力低下のほうがもっと深刻であるという。韓国経済は今まで、組み立てを中心とした加工貿易がメインであったが、部品素材産業に軸足を移し、それを重点的に育成する必要があると専門家は指摘する。
 それだけでなく、観光、医療などの高付加価値産業を育成する一方で、既存の成長エンジンを代替できるバイオ、環境、エネルギー、ナノなどの分野で新産業を起こす努力を続ける必要がある。たとえば、韓国の医療技術の水準は世界的であるが、タイのような医療観光では遅れている。韓国の国土の7割は山地であるが、アルプスのような山岳列車も韓国にはない。韓国のドラマが流行したことによって、韓国の化粧品産業が飛躍的に発展しているように、時代の変化に合わせて、韓国経済は変身を遂げる時期にさしかかっているようだ。

(了)

 
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