2024年11月28日( 木 )

「正義なき国家」に転落した日本

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 NetIB-Newsでは、政治経済学者の植草一秀氏のブログ記事から一部を抜粋して紹介する。今回は、ひとにぎりの大資本の利益のための政策をとり続ける安倍政権を痛烈に批判した、11月1日付の記事を紹介する。


昨日、10月31日に東京都北区王子駅前にある北とぴあ・さくらホールにおいて、JR東労組主催「改憲絶対反対!安全保障法廃止!新基地建設反対!脱原発社会反対!美世志会と共に、あらゆる平和運動への弾圧を許さず、『平和政策』の実現を目指す大集会」が開催された。

2002年11月1日に、JR東労組組合員が強要罪をねつ造され、不当逮捕され、344日間も不当拘束された「冤罪JR東浦和電車区事件」に対して無実の真相を明らかにし、権力の横暴に抗議するための集会が毎年開かれてきた。事件から14年を迎えた今年も、この日に合わせて憲法改悪反対の大集会が開催されたものである。

故後藤昌次郎弁護士は「国会にしかできない犯罪、それは戦争と冤罪である」の言葉を残されたが、国家による冤罪をねつ造され、不当な弾圧を受けてきたわが身にとって、こうした問題は人ごとではない。

オランダの政治学者カレル・ヴァン・ウォルフレン教授が『誰が小沢一郎を殺したのか』(角川書店)で明らかにしたように、欧米では政治的な敵対者を社会的に抹殺しようとする“Character Assassination”(人物破壊工作)が政治工作、政治謀略の一環として広く認識、理解されている。

第2次安倍政権が発足して、間もなく4年の時間が経過するが、安倍政権による暴政、強権政治が猖獗(しょうけつ)を極めている。戦争をしない国日本が、憲法改定の手続きも踏まずに、戦争をする国日本に改変されようとしている。

ハゲタカによる日本収奪の最終兵器であるTPPも、安倍政権の手によって、拙速、批准されようとしている。TPPは一部の関係者に影響を与える部分的、特殊な条約ではなく、日本国民のいのちと暮らしの根幹を根こそぎ改変してしまう、核爆弾の威力をもった危険な条約である。

戦争、原発、TPPに共通することがらは、これらのすべてが、ひとにぎりの大資本の利益のための政策であることだ。

戦争は必然によって生じるのではない。戦争は必要によって創作されるものである。戦争はひとにぎりの大資本=国際金融資本=ハゲタカの必要によって人為的に創作されている。
そして、戦争を創作する者は、常に絶対安全な場所に身を置いてわが命を守る。戦争によって犠牲になるのは常に、最前線の名もなき兵士と市民、子供、女性たちである。テロとの戦いと言うが、アフガン戦争、イラク戦争で犠牲になった米軍兵士は1万に届かない。その一方で、イラク国内だけで25万人の罪のない市民、子供、女性が犠牲になっている。
9.11のテロ、フランスのテロで欧米人が多数犠牲になったと大騒ぎするが、その100倍、千倍の犠牲者がイラク、中東で生み出されている。

私たちは、事実をありのままに、中立公正の立場からよく見直す必要がある。JR東労組の集会では、フリーランスジャーナリストの志葉玲氏と共同通信社編集委員の山川永一郎氏による講演があった。お2人とも、ご自身が取材で撮影された写真や動画映像を紹介しながら、戦争の現実を語られた。

私たちが得る情報の多くは、マスメディアというフィルターを通して伝えられるものだ。そのフィルターに特定の色が着いていれば、私たちが得る情報は、すべからく色の着いたものになる。真実とは程遠いことが多い。

イスラム過激派のテロが犯罪視され、憎悪の対象に仕立て上げられるが、その前に米国がイスラムの地で何をしたのかはまったく伝えられない。参議院の予算委員会で山本太郎議員が、米国のイラク戦争での行為が国際法違反ではなかったのかと質したとき、安倍政権は質問にまともに答えようとしなかった。この質問は志葉氏の問題提起により山本議員によって行われたものだとのことだった。米国による戦争犯罪に対しては言うべきことも言わない。

そして、イラクが大量破壊兵器を保持していることを理由に国連決議も経ずに実行されたイラク戦争を真っ先に肯定した日本政府の行動についても、事実に基づく検証さえ行わない。日本は「正義なき国家」に転落してしまっている。

※続きは11月1日のメルマガ版「植草一秀の『知られざる真実』」第1580号「自民党憲法改定構想は国家転覆の目論」で。


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・植草一秀の『知られざる真実』

 

 

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