世界に向けて「文化立国・日本」を発信!
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11月23日(水・祝日)、アニメの聖地・池袋近くの豊島区雑司が谷地域文化創造館において、第7回「全国マンガ・アニメ活性化連絡会」(午前10時~午後0時30分)と第8回「トキワ荘フォーラム」(午後2時~午後4時30分 主催 NPO法人 日本マンガ・アニメトキワ荘フォーラム)が開催された。
放送番組輸出額ジャンル別ではアニメが第1位
2020年東京五輪に関連して、訪日する4,000万人(政府目標)の外国人旅行者を迎える政府・自治体の動きが活発化している。第7回「全国マンガ・アニメ活性化連絡会」にゲストで登壇したのは放送コンテンツを主管する総務省の須賀政幸氏(情報流通行政局情報通信作品振興課 課長補佐)である。同部署は放送局、テレビ局などを主管しテレビ番組などの海外展開を行っている。
須賀氏は「総務省におけるコンテンツ政策の動向と今後の展開について」と題し、次のように語った。1.18年度までに、放送コンテンツ関連海外市場売上高を10年度(66.3億円)の約3倍に増加させる。(「日本再興戦略2016」16年6月2日閣議決定)
2.放送コンテンツ海外輸出額等(放送及び映画の海外輸出額合計)は、米国がダントツ(194億1,400万ドル)で、以下英国(57億3,800万ドル)、フランス(5億3,600万ドル)、韓国(3億6,200万ドル)と続き、日本は第5位の2億1,000万ドルである。日本にはまだ大きな伸び代がある。
3.日本の番組放送権の輸出額・ジャンル別は、アニメが第1位(13年度47.2%、14年度54.5%)で、以下ドラマ、バラエティが続く。同じく、輸出先別では、アジアが第1位で(13年度61.1%、14年度66.7%)以下、北米、ヨーロッパが続く。
4.テレビ番組の放送コンテンツ海外展開が日本の地域経済に及ぼす影響は大きい。
(例1)台湾のケーブルテレビと提携した『北海道アワー』(HTB北海道テレビ放送)は台湾人観光客を2年で2倍、10年で5倍以上にした。
(例2)仏のケーブルテレビと提携した『Japan in Motion』(テレビ新広島)は仏人観光客の増加をもたらし、番組で取り上げた岡山県ブランド「桃太郎ジーンズ」の海外売り上げを約7倍に伸ばした。総務省では、日本の放送局などと海外の放送局がコンテンツを共同制作して海外で放映する事業を大規模型(日本ブランドの向上)、小規模型(特定の県・地域などのブランド向上)に分けて事業支援している。大規模型については、アセアンの中のミャンマー、タイ、ベトナム、フィリピン、マレーシア、インドネシアの6カ国を重点国としている。
初期の少女マンガはほとんど男性が描いていた
午後は、同じ会場で第8回「トキワ荘フォーラム」が開催された。今回のテーマは、「少女マンガ」である。開講挨拶をした牧野圭一氏(公益社団法人日本漫画家協会 理事)は「少女マンガというジャンルは世界で日本だけかも知れない」と述べた。
前半はみなもと太郎氏(マンガ家・マンガ研究家)が「少女マンガの広がり」と題して講演を行った。みなもと氏は、「初期の少女マンガはほとんど男性マンガ家が描いていた。先日亡くなった高井研一郎先生(『総務部総務課山口六平太』など)も少女マンガ出身だった。当時の少女マンガに男性が出てくれば、弟とか兄で、恋愛ものなどは皆無だった」ことを披露、会場が驚きに包まれた。
さらに、「手塚治虫先生の少女マンガ作品『リボンの騎士』の頃から、恋愛ものが始まり、それを本格的に引き継いだのが水野英子先生で、男女の恋愛を少女マンガで初めて描いた。手塚先生のダイナミックで映画的な表現方法を、少女マンガに移植し、女性ならではの感性で昇華させた。『マンガの神様』が手塚治虫であれば、水野英子は『マンガの女神』」と水野英子氏にエールを送った。絶対今描かなければならないと燃えていました
後半は、ヤマダトモコ氏(マンガ研究者・明治大学米沢嘉博記念図書館スタッフ)を聞き手に、水野英子氏のトークショー「少女マンガの系譜の中で」が展開された。
水野英子氏はマンガ家を志したきっかけを「終戦後の焼け野原で、マンガはもちろん、読める本も少なく、世界名作シリーズなど、限られたものを貪り読んでいた。その中で自分なりにマンガを描いていたある日、突然『漫画大学』(手塚治虫の作品で、漫画の作り方が描かれている)と出会った。その分厚い本を、手に取ったのが運の尽きで、その内容のあまりの素晴らしさに感動、大きなショックを受け、読み終わった瞬間に、マンガ家になることを決めた」と明かした。
また、水野氏は代表作のロック・マンガ『ファイヤー』について、「一番描きたかった作品。ベトナム戦争後、当時の米国民は自分たちの行動に疑問を持ち始めていた。彼らはその思い(メッセージ)を、ロックという音楽に乗せて発信した。私はそのことに、ものすごく共感して、ロック・ミュージシャンを描いてみたくなった。いや、絶対、今、描かなければならないと燃えた」と熱く語った。
会場を埋め尽くした女性を中心とする約50人のファンは、話に聞き入り、講演終了後のサイン会では長い列ができていた。
【金木 亮憲】
<プロフィール>
水野 英子(みずの・ひでこ)
山口県下関市出身。後の少女マンガ家(竹宮恵子、萩尾望都、青池保子など24年組や同世代のマンガ家たち)に与えた影響の大きさやスケールの大きい作風から「女手塚」、「少女マンガの神様」と呼ばれることもある。
代表作として、『星のたてごと』、『白いトロイカ』、『ファイヤー』など。2010年第39回日本漫画家協会賞文部科学大臣賞を受賞。関連キーワード
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