広葉樹の植栽で森林を再生(2)
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多良木町森林組合 代表理事組合長
味岡グループ 代表
味岡 和國 氏二面性がある森林
森林・林業の仕事は、半世紀から1世紀単位の事業となる。植林してすぐに森林が形成されるというものではない。その間に、林道・作業道の開設、地拵、植付、下刈、雪起し、枝打ち、除伐、間伐などの工程、さらには発生する病虫獣害の防除、自然災害からの復旧などのプロセスを経て、ようやく森林と呼べるモノとなる。
これらのうち、とくに間伐の工程は、健全な森林の維持において重要な役割を担う。その重要性とは、次の通りとされている。(1) 残存木の成長や根の発達が促され、風雪害に強い森林となる。
(2) 林内の光環境が改善され、下層植生が繁茂し表土の流出を防ぐ。
(3) 多様な動植物の生息・生育が可能になり、種の多様性が向上。
(4) 病虫害に対する抵抗性が向上する。健全な森林・林業の恩恵は、住宅資材を中心とした木材の安定供給。そして、国土の保全、水源の涵養、生物多様性の保全、地球温暖化の防止など、地球環境への貢献が挙げられる。しかしながら現状は、安定した森林の保全を実践している林業は少数であり、間伐など健全な森林を維持できていない所有者が多数を占める。それは、需要低迷により、森林を健全にするためのコストが捻出できないのである。そのような森林の木材は、品質上そして構造上とも良質とは言いがたく、価格を含めた総合的な価値を下げてしまうという悪循環に陥る。
多良木町森林組合の挑戦
熊本県球磨郡の多良木町森林組合は、組合員数574で運営されている森林組合である。代表理事組合長は、生コンクリートの製造販売などを手がける味岡グループを率いる味岡和國氏である。
同組合の管理する面積は4,095.74haで、所有の内訳は多良木町1,522.22ha、久米財産区535.04ha、組合員2,038.48haとなっている。同町内に加工センターを持ち、佐賀県鳥栖市に市場を開設。5年7月に(一社)緑の循環認証会議が認証するSGEC(Sustainable Green Ecosystem Council)を取得した。全国的に見ても、森林組合がこの認証を受けているのは少数派である。この認証は、「モントリオール・プロセス」を踏まえて定められた、7つの基準と36の指標にもとづき、適切な森林管理を検証される。その7つの基準は、以下の通り。
(1) 認証対象森林の明示およびその管理方針の確定
(2) 生物多様性の保全
(3) 土壌および水資源の保全と維持
(4) 森林生態系の生産力および健全性の維持
(5) 持続的森林経営のための法的、制度的枠組み
(6) 社会、経済的便益の維持および増進
(7) モニタリングと情報公開この認証によって、経済、環境、そして社会全体に貢献する森林であることが対外的にも周知できる。
(つづく)
法人名
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