2024年12月22日( 日 )

地場ゼネコンはかく語りき 九州建設M&A

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 福岡屈指の老舗ゼネコン、九州建設(株)が徳倉建設(株)(所在地:愛知県名古屋市、徳倉正晴代表)の子会社となる。発表後から、業界ではこの話でもちきりとなっている。今回のM&Aについて、地場ゼネコンはどのように受け止めているのか。紹介する。


1.今回のM&Aについて、率直な印象は?

 →昨今、M&Aは特別なことではなくなってきており、もちろん当社にも複数の金融機関などよりさまざまなM&A案件をご紹介いただいている事も勘案すれば、時代の流れだなと感じています。ただし、地場建設業の経営者としては少し寂しい、虚しい気持ちはあります。

 九州建設の社員(若手~中堅)にとってみると、果たして今回のM&Aは『明るい未来が見えるような印象があるのか』。逆に『経営から裏切られ脱力感(ストレス)を感じているのか』、もしくは『自分には関係ないと感じているのか』という点は、気になるところです。

2.なぜこのタイミングで、M&Aに踏み切ったのか?

 →タイミングやM&Aに踏み切った理由については当事者ではありませんのでは一概に言えませんが、
売り手と買い手の双方の事情を想像すると以下のような理由ではないでしょうか。

【売り手(九州建設)】
・昨今の業界の好業績を背景に損益計算上ではこれまでにない利益があがっていること。
・貸借対照表上でも負債が減少し、純資産が増加したことによる企業価値の向上が実現できたため、(経営者としては)納得のいく価格で株式を売却できたこと。
・今後の業界の先行きを案じると、明るい将来が見い出せなくなってしまったこと。

【買い手(徳倉建設)】
・九州にも進出したい(事業規模を拡大したい)という意向が従前よりあったこと。
・BOFとの協力関係も今後も期待できること。
・以前より九州建設とはJVなどで協業しており、社風や文化などが合っていると感じていたこと。

 あくまで想像です。ただ、地場業界の経営者としては寂しさは残ります。当社も100年企業を目指しているなか、120年企業があっという間に買収された訳ですから。気を引き締めてがんばります。


【東城 洋平】

 

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