辞任への布石か?高島市長、「再議」へ~福岡空港出資問題
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クライマックスを迎えた攻防戦
3月28日、福岡市議会本会議で高島宗一郎福岡市長に、国から福岡空港の運営を委託される民間事業者への出資をするよう努力義務を課す「活力ある福岡空港づくり基金条例案」(以下、本条例案)が賛成39票、反対20票で可決された。しかし、高島市長は、出資の必要はないという考えを固持し、再度、議決を行う「再議」を要請。市議会は会期を15日間延長し、4月11日、12日に再度、本会議を開く。福岡空港の運営を委託される民間事業者については、3月24日に民間委託の実施方針が発表され、5月から募集を開始する予定。時間的余裕はない。
本会議における本条例案の採決は、棄権した2名の市議と議長を除いた59名で行われ、前日の条例予算特別委員会における採決と同じ結果になった。「再議」では、可決に3分の2以上の賛成が必要であり、本会議と同じ結果になった場合は、賛成が見込まれる議長票が加わり、ちょうど3分の2の数(40票)で可決される。1名でも反対に回れば、否決になる状況だ。
市議会における出資の是非をめぐる議論は、2月から3月にかけて行われた。市は、昨年6月に出資を表明した福岡県や、国に対して“出資をしない方針”を伝えたのち、今年2月、福岡空港ビルの運営会社であった第三セクター・福岡空港ビルディング(株)の株式売却で得た64億円のうち約7億8,000万円を空港周辺のまちづくりへ、50億円を子育てやスポーツに関連する2つの基金に積み立てる「福岡空港未来基金条例案」を市議会に諮った。
61年ぶりの再議と市政初の副市長再任
高島市長は、「民にできることは民に任せる」と言いつつ、市民の安全性の確保や環境改善という公共の問題については、「(新運営事業者は)国の関与が強い」と整合性を著しく欠いた主張を繰り返す。空港周辺の安全性や地域振興を担保するための出資の必要性が主張されても「数%の出資で何がしたいのかわからない」と耳を塞ぐ。市議会側は、与党である自民党市議団を中心に、出資を行うよう再考を促すため、高島市長側の基金設立条例案を否決。以後も高島市長の方針が変わらないことから、議員提案で本条例案を上程した。
繰り返された議論のなかで、出資に関する検討が一部署(市港湾空港局)でのみ行われ、さらに市議会では、まったく説明がなされていない会派もあったことが判明した。出資をめぐる議論は、本来であれば、1年以上前に行うべきだが、重要課題であることから時間をかけて行い、「39対20」という結果に終着した。それでも高島市長は「具体性がない」として、再び、議決のやり直しを命じた。予想されるのは、結果を覆すための議会外における多数派工作だ。“独善的手法”で混乱を招き、“不透明なプロセス”で決着するという、“高島市政の真骨頂”と言えるやり方が行われはしないか。強く危惧されるところである。
一方、同日の本会議では、再任が決まった貞苅厚仁副市長と中園政直副市長のあいさつが行われた。福岡市で2期以上務めた副市長は両氏が初めて。市議会では、高島市長による出直し選挙や国政進出にともなう“市長辞任”を視野に入れた、“高島市政方針を継続するための布石”ではないかという憶測が飛び交う。福岡市で61年ぶりという異例の「再議」まで行う高島市長の徹底抗戦の様子から、本条例案に従って出資のために努めるとは到底思えない。責任放棄のシナリオが現実味を帯び始めた。
【山下 康太】
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