バイオマス燃料100%の発電所を再エネの新たな選択肢に
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関西電力は5日、同社の相生発電所で100%バイオマスの燃料を使用した火力発電を開始するため、三菱商事と共同で新会社を立ち上げると発表した。相生発電所は1982年に操業を開始した火力発電所。重油、原油を燃料とする3基の火力発電ユニット(出力37.5万kw。1号機、3号機は改修によって天然ガスも燃料として活用できる)を持つが、このうち2号機をバイオマス燃料用に転換する。燃料転換後の出力は約20万kwを想定している。
2016年における関西電力の電源構成は、水力12%、火力84%(このうち石油15%、天然ガス44%、石炭25%)、原子力1%、新エネルギー(廃棄物・太陽光・風力・バイオマスなど)3%となっている(発電電力量ベース)。11年の東日本大震災にともなって原発が稼働停止したことで、10年まで電源構成比44%を占めていた原発の発電量をそのまま火力発電が肩代わりした格好だ。なかでも天然ガスの比率が圧倒的に増えた結果、燃料費として関電の経営を圧迫し、また電気料金の値上げとなって家計を直撃している。現状のバイオマス発電は燃料コストがかかるため、まだ経済的に優位に立っているとは言い難いが、発電ユニットの規模が大きければより効率的な運用が可能だ。
また、化石燃料による発電には、温暖化対策の面からも厳しい視線を浴びせられている。その面からも、間伐材や端材を使用してCO2排出量を相殺できるバイオマス発電には大きな将来性があるといえるだろう。バイオマスと石炭の混焼は、東北電力原町発電所で稼働中の100万kw規模の火力発電ユニットなどの例があるが、バイオマス専燃の火力発電所は珍しい。九州では宮崎県がバイオマス素材の生産量では全国2位となっており、「宮崎県バイオマス活用推進計画」を定めて活用促進の取り組みを続けている。再生可能エネルギーの有力な選択肢として、注目していく必要があるだろう。
【深水 央】
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