福岡空港出資問題、「高島市長は素晴らしい」と副市長が市議に働きかけ
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・高島市長に虚偽答弁の疑い、中園副市長が出資賛成派市議に恫喝メール
陳腐な議会工作、特定の市議に働きかけ
福岡空港の運営を国から委託される民間事業者への出資の是非をめぐり、紛糾する福岡市議会。出資しないことを前提とした福岡空港未来基金条例案を2月議会で否決された高島宗一郎福岡市長は、市長に出資するように求める自民党市議団提案の「活力ある福岡空港づくり基金条例案」が3月28回の議会で可決されたが、即日、議決のやり直しを求める再議(地方自治法第176条1項)に付した。条例の場合、再議では、出席議員の3分の2以上の同意がなければ可決されない(同条3項)。
出資を求める条例案の可決から13日間が過ぎた4月11日、福岡市議会は本会議を開き、再議に関する質疑を行なった。そのなかで見えてきたのは、これまでの議場における議論を無視した、高島市政の呆れた実態だ。副市長が個人的に議員に接触し、出資をしないという高島市長側の考えの説明はなく、当該議員に媚びを売り、「市長は素晴らしい」などと暗に市長側につくよう働きかけたというのである。
市議に接触したのは中園政直副市長。福岡維新の会の市議に面会し、前述の言動を行なった。この際、同会派および同会派の他の市議への接触はなく、特定の市議をねらいうちにしたものと思われる。福岡維新の会の冨永周行市議は副市長に事実確認を行なったが、当初、副市長ではなく則松空港港湾局長が答弁に立ち、議会側および傍聴席から大ブーイング。やむなく答弁に立った中園副市長は、「法令に照らして何ら問題ない」と答えた。また、共産党市議団の綿貫英彦市議の質問で、中園副市長のほか、荒瀬泰子副市長も市議への接触を行なったことを認めた。高島市長と貞刈厚仁副市長は市議への接触をしていないと答弁した。
3月28日の議決の結果は、出席議員60名(2名棄権)のうち賛成39票、反対20票。自民党市議である議長の票が賛成に入ることから、賛成見込みの票数は40となり、この時点で、再議における可決要件の3分の2以上の同意を満たしていたことになる。にも関わらず、なぜ、高島市長は再議に付したのか。出資を求める議会側多数の意思表示は、2月議会および、常任委員会の審議を経た条例予算特別委員会、本会議と3度行われた。この間も、幾度となく、高島市長自ら、自分の考えを述べ、疑問に応える機会はあった。しかし、議会側の質問に答えていたのは、所管の空港港湾局の職員ばかりだ。
議会の冒頭、高島市長が述べた再議理由の説明は、法的根拠を示すものであり、これまでの議会における議論の経緯を十分にふまえた内容ではなかった。高島市長の意見を求める議会側の声に応えず、自らの口を閉ざし、議会側の意見に耳を塞ぎ、挙句の果てに、市議に対し、出資の是非に関する説明ではなく、“自分を好きか嫌いか”という選択を側近に迫らせるという陳腐としか言いようのない議会工作。空港への出資をめぐる議論については、読者のなかにも賛否両論あるだろうが、少なくとも高島市政の考えているものが、福岡市民の期待するレべルに達していないことは明白である。
福岡市議会では、午後からも再議に関する質疑が行われる。高島市政で何が行われているのか、市民は自分の目で見て、冷静に見極める必要があるだろう。なお、本会議は、傍聴できるほか、インターネットの中継、録画放映も行われている(関連リンク参照)。議会で明らかになる事実については、あらためて報じていく。
【山下 康太】
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