高島市長に虚偽答弁の疑い、中園副市長が出資賛成派市議に恫喝メール〜福岡市空港出資問題
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市長側、出席要求を何度も拒否
福岡空港の運営を委託される民間事業者(以下、新運営事業者)への出資をめぐり、高島宗一郎市長、中園政直副市長、荒瀬泰子副市長が一部の市議に接触した件および再議決定の経緯について、議会側は高島市長と両副市長の常任委員会(第3委員会)への出席を要求。市長側は、出席の法的義務はないなどとして何度も拒否し、その都度、審議がストップし、日をまたぎ明け方におよぶ異常事態に陥った。
問題視されたのは、自民党市議団から提出された市長に新運営事業者への出資を求める「活力ある福岡空港づくり基金条例案」(以下、空港出資条例案)に賛成する一部の市議に、高島市長と両副市長が直接的または間接的に働きかけたという件。中園副市長と荒瀬副市長は、本会議質疑の答弁で、直接的な接触を認めたが、高島市長は接触を一切否定した。
空港出資条例案の再議について審議を付託された市議会第3委員会は、高島市長と両副市長の出席を要求。以下、何度も出席を拒んだ市長側と議会側のやりとり。
午後5時半過ぎ
第3委員会(以下、委員会)が、高島市長と中園、荒瀬両副市長の出席を要求することで審議を中断。午後7時45分
委員会再開。市長側、①本会議で答弁している、②説明は所管局(空港港湾局)でできる、③市長、両副市長に何を聞きたいかがわからないとの趣旨で出席を拒否。再度、出席を求めて審議を中断。午後9時45分
委員会再開。委員会が再度出席を要求。市長が午後6時半に公務のため、市庁舎を離れた件で市長室長に出席を求める。市長室長より、市長の公務は「明日行われる大名小のインキュベート施設のイベントの準備」と説明。午後10時14分
委員会再開。委員会の求めに応じ、総務企画局長が出席。前述の3つの拒否理由に、出席に法的義務はないと付け加えて再度出席拒否の理由を説明。総務企画局長に質問の趣旨を伝えて再度出席要求(市長は市庁舎で待機とのこと)。午後11時16分
予定時間から16分遅れで委員会再開。両副市長が出席し、市議接触の件(後述)を認める。冨永正博市議(福岡維新の会)より、市長の働きかけがあったとの発言(市長の虚偽答弁の可能性が浮上)。午前0時5分
日付変更につき、一旦中断し、委員会再開。市長に出席要求。午前0時25分
委員会再開。中園副市長から「具体的に何の話かわからない」「議会答弁(空港出資の件で市議への接触はしていない)の通り」との市長出席拒否の理由を説明。冨永市議「(市長接触の)証拠はある」。市長に再度出席要求。数分後、市長に面談した中園副市長から、市長が「証拠」の提示を求めているとの説明。市長出席の必要性について各会派の総意であることを確認。再度出席要求をするも、市長側が「証拠」の提示が必要との姿勢を崩さないことから、代表者会議での協議へ。午前1時45分
代表者会議開催(非公開)。
議会の総意として市長に第3委員会への出席を要求。午前4時
第3委員会再開。
市長、両副市長に出席を求め、同日午前10時に再開することを決定。中園副市長「君の将来を案じています」
委員会における両副市長の答弁から、明らかになった市長側の市議への働きかけは、中園副市長が、出資条例案が可決された3月28日の前に1名、後に1名、荒瀬副市長が同28日の前に2名、後に1名に対して行われたというもの。中園副市長については、鬼塚昌宏市議(無所属)から間接的な働きかけがあったとの証言があった。中園副市長は本会議で、第三者に市議への働きかけを依頼していないと答弁していた。
鬼塚市議の受けた間接的働きかけとは、3月23日、中園副市長から頼まれたという第三者から「空港の件でお願いがある」との電話があったというもの。鬼塚市議が出資賛成から翻意がない旨を伝えると、第三者は、中園副市長に電話があった件を伝えて欲しいとの要請。鬼塚市議がメールで中園副市長に電話の件を伝えると、中園副市長から「君の将来を案じています」との返信。恫喝ともとれる内容だが、中園副市長は鬼塚市議とのやりとりを認めたうえで、第三者への働きかけの依頼については否定。「本人(第三者)に確認して欲しい」と答弁した。
一方、冨永正博市議は、3月24日に、当初、同市議が議会で取り上げていた博多港引き揚げの件で呼ばれ、副市長室で面談したが、1時間ほど話をするうちに、空港出資の話に内容が変わり、「市長は素晴らしい」といった発言もあったという。このほか、川上晋平市議(自民党市議団)からも市議2名に働きかけがあったとの発言。江藤博美市議(福岡市民クラブ)は、「(同クラブの)会派代表が(空港出資の件で副市長に)会いに行っても相手にされなかった」とし、会派への説明ではなく個別に働きかけを行なっていたことを問題視。空港出資条例案をめぐり、議会に再考を促す「再議」を求めた市長側であったが、結局のところ、議会質疑では新たな出資不要の論拠が示されることはなく、議会の外で切り崩しを行なっていたという実態が浮き彫りになった。
高島市長については、冨永市議への接触に関する事実確認など説明を求める議会側の求めに対し、早朝4時になっても姿を見せず、自分に都合が悪いと思われる話について、駄々をこねて頑なに説明責任を果たさない幼稚な姿勢を見せつけた。
【山下 康太】
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