久留米市・欠陥マンション裁判、被告・鹿島建設の「ブーメラン」
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同じ欠陥マンションで下請を訴えていた鹿島建設
耐震強度が国の除却基準「50%」を大きく下回る「35%」とされたマンションの区分所有者が、建て替えを求めて元請施工業者の鹿島建設(株)などを訴えた福岡県久留米市の欠陥マンション裁判は、いよいよ最終局面に入った。2014年6月の裁判開始から約3年の間に浮かび上がったさまざまな問題のなかで、特筆すべきは、企業倫理を疑わざるを得ない「なりふり構わない自己防衛の姿勢」である。
同マンションの施工上の問題について、鹿島建設は07年、下請業者の(株)栗木工務店を相手取り、損害賠償を求めた訴訟を起こした。鹿島建設が原告と被告と立場を変えた2つの裁判で、指摘された問題は一致する内容がほとんどだ。しかし、鹿島建設は、自ら訴えられる立場になると、過去の主張がなかったかのように、「設計図面どおりに施工しているので、施工業者としての責任を果たしている」とうそぶく。
下請業者を訴えた裁判では、鹿島建設は以下のように主張している。
「鉄筋コンクリート躯体について、鉄筋を被っているコンクリートの厚さ不足があるためコンクリートが剝落などを起こしたり、中の鉄筋に錆が生じてひどくなり爆裂という現象を惹起こしたり、コンクリートにクラックが発生」(訴状より)
「共用廊下部分に発生した欠陥は、コンクリートのひび割れ、コンクリート面の爆裂・落下、コンクリート中の空洞・豆板、コンクリート面の浮き、コンクリート面への錆び漏れ、コンクリートの中性化、タイル面の浮き、建具周りコーキングの剥離、塗膜のはがれ及びコンクリート躯体の中に不純物混入」(訴状より)
「被告(栗木)が行った本件請負契約に基づく工事によって生じた新生マンション花畑西の瑕疵は、かぶり厚の著しい不足(建築基準法施行令79条の著しい違反 共用A1~3、B1~3、外部A1~3、B1~3)、ジャンカ(建築基準法20条、施行令74条違反 共用A4、外部A4、B4)、社会通念上当然に請負業者に要求される施工上の注意義務である下地の清掃、湿潤の上でのモルタル施工(共用A6、B4、外部A6、B6)義務等、請負業者として当然に要求される注意を払えば防げたはずの瑕疵であり、これが被告の重過失に基づくことは明らか」(第4準備書面より)
極め付けは、鹿島建設の部長が、下請業者に言い放ったとされる以下の内容。
「工事見積書及び現地確認写真と題する書面を(栗木に)提示し、木村(鹿島建設 建築工事部統括部長)は、『写真を見てもわかるように非常に品質が悪く、設計図どおりの工事が行われていない』『費用がこれだけかかっているのだから、そちら(栗木)で費用を負担すべきだ』と述べて・・・」(第9準備書面より)
とても、同じマンションの話とは思えない内容だ。鹿島建設の姿勢もまた、とても同じ企業のものとは思えない。最後に、横浜市のマンションにおける杭打ち工事データ改ざん問題に関する、日本建設業連合会・中村満義会長のコメント(15年10月22日、同年11月20日の記者会見より)。
「施工管理の責任を持っている元請企業の団体として、調査や施工管理の体制の検討に当事者意識を持って積極的に対応する」
「元請の建設会社として発注者に対する全責任を負っている」
中村氏は鹿島建設の現・代表取締役会長。その金言が、今の鹿島建設に「ブーメラン」として突き刺さっている。
【山下 康太】
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