2024年11月27日( 水 )

「SECCON2017」記者会見~決勝大会への進路に大きな変化!

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セキュリティ人材の発掘・育成、技術の実践の場の提供

(左)竹迫実行委員長、(右)寺島副実行委員長​

 6月29日、東京都港区西新橋の(特非)日本ネットワークセキュリティ協会(略称:JNSA、会長:田中英彦氏)の会議室で、「SECCON2017」の記者会見および懇談会が行われた。

 SECCONは、情報セキュリティをテーマに多様な競技を開催する情報セキュリティイベントで、実践的セキュリティ人材の発掘・育成、技術の実践の場の提供を目的として2012年に設立された。ICTに関わるすべての人材(開発者、テスト実施者、利用者)への情報セキュリティの考え方や知見を広め、セキュリティ予備人材の裾野を広げ、さらにそのなかから世界に通用するセキュリティ人材を輩出し、日本のセキュリティレベルを世界トップレベルに引き上げることを目標としている。

 現在、世界各国でセキュリティ人材の養成が喫緊の重要課題となっている。日本においても慢性的な人材不足(約14万人が不足)、さらには2020年の東京オリンピック開催を控え(サイバーテロ対策には約20万人が不足)、その役割は年々増している。
 日本政府もその重要性を強く認識しており、高度情報通信ネットワーク社会推進戦略本部やサイバーセキュリティ戦略本部を始め、警察庁、総務省、公安調査庁、文部科学省、経団連などの多くの団体が同大会を後援している。

昨年決勝の1位&2位は韓国、3位中国で、日本は5位

 当日、会見に臨んだのは、実行委員長の竹迫良範氏と副実行委員長の寺島崇幸氏である。最初に挨拶に立った竹迫実行委員長は、毎日のようにサイバーテロ関係のニュースが新聞を賑わしている現状や、昨年の決勝大会の結果(第1位韓国、第2位韓国、第3位中国、第4位台湾、第5位日本)などに言及した後、SECCON2017の実施計画を以下のように説明した。

「SECCON2017」実施概要とスケジュール

【主催】SECCON実行委員会(JNSA)
【実施期間】2017年5月から2018年2月まで
【予選大会】2017年12月9日(土)から10日(日)
※日本語と英語によるCTF(セキュリティの総合力を試すハッキングコンテスト)
オンライン予選大会
【決勝大会】2018年2月16日(金)~19日(月)
※企画展示、カンファレンス、CTF決勝戦を併催
・国内決勝大会(CTF):2018年2月17日(土)
※オンライン予選20枠、招待4枠、参加資格は日本チームに限定
・国際決勝大会(CTF):2018年2月18日(日)~19日(月)
オンライン予選12枠、招待2枠(英語+日本語)

 昨年度の「SECCON2016」と比較すると、その実施概要は大きく変化した。

従来行われてきた地方予選大会はすべて中止に
 従来行われてきた地方予選大会(16年は横浜、大阪、京都、福岡で実施)は、すべて中止になった。その理由として、竹迫委員長は地域的にもテーマ的にも偏りがあり、総合力を養成する観点から、オンライン予選大会に1本化したと説明した。SECCONに外部からの風を入れる必要性については、国内決勝大会に設けられた招待枠(例:「情報危機管理コンテスト」など)で補うとしている。

決勝は「国内大会」と「国際大会」の2本立てに

 また、CTF決勝は「国内決勝大会」(1日)と「国際決勝大会」(2日)の2本立てとなった。国内大会の参加資格は日本チーム限定で、ここでは日本一を決める。国際大会では国別関係なく世界一を決める。招待枠の2つは、「台湾AIS3」および「ASEAN地域国際大会」の優勝チーム招聘を考えている。
 なお日本チームの場合は、オンライン予選に参加登録する段階で、国内決勝大会に参加希望するか、国際決勝大会に参加希望するかを選択する必要がある。

日本初の「女性限定国際CTF大会」が11月に開催

 「SECCON2017」活動全体の考え方にも変化が見られた。従来、「CTF beginners」と呼ばれていたものは、「SECCON beginners」へと名称を変更した。CTFにこだわることなく、セキュリティ技術の底上げと、人材発掘・育成を目的とした初心者向けのハンズオン形式の講習と演習を行うとしている。
 ただし、2018年1月には、“公開模試”として、初心者オンラインCTF大会を開催する(予定)。

 「CTF for GIRLS」にも、本年度は新しい取り組みが提示された。11月に日本初の「女性限定国際CTF大会」を開催する(予定)。
 昨年は、草薙素子をモチーフにした、「攻殻機動隊 REALIZE PROJECT × SECCON CTF for GIRLS(通称:攻殻CTF)が巷の大きな話題をさらった。今回の日本初「女性限定国際CTF大会」も、大きな注目を集めるだろう。

AIを使いウィルスがすり抜けた場合の責任は誰に?

 記者会見に続き、実行委員長、副委員長と記者たちとの懇談会が行われた。その一部をご紹介する。


 記者 セキュリティとAIについてはどのようにお考えですか?

 竹迫委員長 セキュリティとAIについては、専門家レベルでは研究はかなり進んでいます。SECCONも、従来からAIについては注力しており、また今回のオンライン予選や決勝大会などでも、AIに関する出題も考えています。
 ただし、AIを現実のセキュリティとどう連動させていくかと言う問題になると、少し時間が必要と考えています。仮に、AIを使ってウィルスがすり抜けてしまった場合、専門家もその理由を解き明かすことができない可能性があるからです。

 記者 SECCONへの参加とキャリア形成(就職)の連動については、どのようにお考えですか?

 竹迫委員長 徐々にですが、結果が出てきているように感じています。昨年は、スポンサーの大手企業にSECCON参加者が就職されました。すべてはお話しできないのですが、スポンサー企業にはSECCON参加が縁でいろいろな可能性も生まれていると聞いています。

 寺島副委員長 インターシップなどでは、SECCON参加者が活躍できる場も増えていると言う話も聞いています。


 これから来年2月の決勝大会まで、日本・世界でCTFを中心に熱い闘いが繰り広げられる。実行委員会は、世界最大規模の累計6,000人の参加者を目標にしている。

【金木 亮憲】

 

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