2024年11月17日( 日 )

もはやアメリカに学ぶものはない?小売業最先端アメリカの実像(7)

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ホームデポは思い切った

 昨年末の感謝祭やブラックフライデーの買い物はオンライン客数がリアル客数を上回るという従来型の小売業にとってはショックな結果が出た。
 我が国には「10年ひと昔」という言葉があるが、アメリカにはより具体的な10年刻みの経年表現がある。
 バブルから10年前後にわが国でも使われた「ロストディケイド(失われた10年)」がそれである。さらに20年をスコア、30年をジェネレーションというのは誰もが知る通りであるが10年がひと昔なら、30年は完全に世代交代である。生まれた子供は家庭を持ち、若い父親は現役の終盤を迎える。当然自己革新をしない企業は老化し衰弱する。企業の寿命30年。事実、30年前、業界の雄といわれた小売業のほとんどは日米共に今は昔である。

ホームデポは思い切って出店を止め、ネット転換することで既存店舗売り上げを伸ばしている

ブルーエプロンのミールキッツ

 家庭で本格的なおいしく健康な食事を作りたい。そんなニーズに応えて注目されているのがブルーエプロンだ。
 有機や環境、アニマルウェルフェアーをアピールして食材を配達するのがブルーエプロンだ。提供プランは2人用、週3回のもので1食あたり約10ドル程度。4人用は週2回と4回があり、価格は2人用より少し安くなる。材料と一緒にレシピが入れてあり、さらに動画でも調理をアシストしている。
 未上場で利益も出していないニューヨークの食品材料配達企業だが、今その企業を全米のSMが注目している。その理由は少し高くはつくものの、レシピに悩んだり、材料が無駄になったりするリスクが少なく、材料調達を十分吟味し、生産者と直接契約するなど、消費者心理に沿ったやり方で食材キットを提供しているからだ。
 スーパーの来店客のほぼ60%が夕食のメニューを決めていないという実態も彼らにとっての追い風になっている。

ブルーエプロンのミールキッツ(HPより)

(了)

<プロフィール>
101104_kanbe神戸 彲(かんべ・みずち)
1947年生まれ、宮崎県出身。74年寿屋入社、えじまや社長、ハロー専務などを経て、2003年ハローデイに入社。取締役、常務を経て、09年に同社を退社。10年1月に(株)ハイマートの顧問に就任し、同5月に代表取締役社長に就任。流通コンサルタント業「スーパーマーケットプランニング未来」の代表を経て、現在は流通アナリスト。

 
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