有望な輸出商品になった韓国海苔(後)
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日韓ビジネスコンサルタント 劉明鎬(在日経歴20年)
それでは、海苔が世界的に売れているこのような状況を、他国では傍観しているだろうか。海苔の輸出において、今後一番警戒しなければならない相手は中国であろう。中国は生産量では世界一で、現在は乾燥海苔を中心に海苔の原料を輸出しているが、まもなく原料としての海苔よりは付加価値の高い味付け海苔に乗り出す可能性が高い。そうなると、価格を武器にした中国海苔は韓国海苔の大きな脅威になるかも知れない。海苔の輸出でもう一つ注目しないといけない国がある。タイである。意外といえば意外な国である。タイは海苔をほとんど生産していないが、海苔の輸出においては、中国に次いですでに世界3位にランクされている。その成長も目を見張るものがある。
タイは乾燥海苔を韓国や中国から輸入し、それを海苔の加工食品としている。加工海苔は商品として定着し、人気を呼んでいる。その人気はタイばかりではなく、東南アジアにも広がっている。それだけでなく、タイの海苔加工食品はアメリカにも輸出され、アメリカの売り場の一角を占めている。アメリカのスーバーなどでは、味付け海苔コーナーの面積は狭くても、海苔スナックなどの加工食品コーナーは大きなスペースを占めているのが現状である。韓国の農業水産部でも、海苔加工食品の新しい可能性に目覚め、海苔を活用した加工食品の開発に積極的に乗り出している。
味付け海苔を商品として差別化していく方法には三つがある。使う油で差別化を図る方法である。味付け海苔にはごま油、エゴマ油、オリーブ油などが使われているが、油自体がヘルシーで味がよいことをアピールすることで、自社商品の優位性を訴求する方法である。次に、海苔の焼き方であろう。韓国海苔は二度焼きすることによって、口に入れた際にパリパリとした食感を与えることを売りにしている。三つ目に、塩である。どのような塩が使われたかによって、海苔の味は違ってくる。塩の種類には天日塩、精製塩などがあるが、天日塩が使われたということがアピールポイントになる時代でもある。これに加えて、海苔の産地などもブランドになったりする。
最後に海苔の産業構造を見てみよう。海苔を養殖する農家と、1次加工業者、2次加工業者に分かれているのが一般的だ。輸出が増えても養殖農家はそれほど儲からず、1次加工業者だけが儲かる産業構造のようだ。海苔産業でも、やはり資本主義の論理が働いているようである。今後政府は政策的にそのような構造を改善していく努力も必要になるだろう。養殖農家の高付加価値化のための努力なしでは、海苔の輸出増もいつかは壁にぶつかることになるはずだ。
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