2024年11月27日( 水 )

北朝鮮問題で独自の強みを発揮するプーチン大統領(前編)

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 NetIB-Newsでは、「未来トレンド分析シリーズ」の連載でもお馴染みの国際政治経済学者の浜田和幸氏のメルマガ「浜田和幸の世界最新トレンドとビジネスチャンス」から、一部を抜粋して紹介する。今回は、9月15日付の記事を紹介する。


 今日の国際社会において他を圧倒する影響力を発揮しているのは、アメリカのトランプ大統領でもドイツのメルケル首相でもない。もちろん安倍総理でもない。政治、経済、軍事といった国力の総和とそれらを最大限に活かした「世界を手玉に取る」演出力という点で評価すれば、中国の習近平国家主席とロシアのプーチン大統領が双璧であろう。年齢も2人とも60代半ば、ほぼ同年だ。また、自らの努力と才覚で党、政府、軍をほぼ完璧に支配している点も共通している。

 特にプーチン大統領の動きが際立っているのが、現在進行形の「北朝鮮問題」である。アメリカが国連安保理に働きかけ、北朝鮮への経済制裁を一段と強めようとする中、「経済制裁は意味がない。北朝鮮は雑草を食べてでも、自国の存立のためには核開発を継続するだろう」と断言。2017年9月にウラジオストックで開催した「東方経済フォーラム」には南北朝鮮の代表を招き、「ロシア、北朝鮮、韓国の3か国経済発展プロジェクト」を提唱し、戦争回避への道筋をつけようと独自の外交を展開したのである。力で押さえつけようとするアメリカのトランプ流とは一線を画すアプローチであった。

 シベリアと南北朝鮮を結ぶ鉄道や原油、天然ガス用のパイプラインの建設、加えてロシアからの電力供給網の整備など、北朝鮮の経済を安定化させると同時に韓国との経済一体化を実現することで、金正恩労働党委員長の暴走を食い止めようという作戦に他ならない。2006年から経済制裁を受けながら、核やミサイル開発を継続させてきた北朝鮮の現状を冷静に判断すれば、経済制裁の効果がないことは明白であろう。

 にもかかわらず、アメリカは国連安保理の場で、「北朝鮮への石油の禁輸」を織り込もうと画策を続けている。これこそ、太平洋戦争に繋がった「アメリカによる日本への石油禁輸」の再来になりかねない。歴史から学ばねば、人類は最悪のシナリオに突入することになるだろう。その点、プーチン大統領の言動にはトランプ大統領とは違って、「対話と交渉による問題解決への意気込み」が感じられる。

 実は、プーチン大統領と習近平国家主席の間には、さまざまな共通点がある。例えば、「歴史を味方につけ、相手を煙に巻く」といったテクニックだ。発言や演説には必ずといっていいほど、ロシアや中国の歴史に触れる場面がある。習近平の場合、建国の父である毛沢東の偉業に触れつつ、革命の歴史を語り、14億人を超える国民の気持ちを奮い立たせるのが得意技である。

 「現在、われわれは歴史上のどの時期よりも、中華民族の偉大な復興の目標に近づいている。歴史上のどの時代よりも、この目標を実現させる自信と能力を持っている」。「歴史」と「自信」という言葉を繰り返すのが、習近平の得意技といえよう。

※続きは9月15日のメルマガ版「世界最新トレンドとビジネスチャンス」第81回「北朝鮮問題で独自の強みを発揮するプーチン大統領(前編)」で。


著者:浜田和幸
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