「腰を入れろ!」ってどういう意味?~レッスンと言葉
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皆さんは練習をしている時に「腰が入っていない!」と言われた経験はないでしょうか。僕も若い頃に、シングルのおじさんから言われた経験があります。その時に僕がその言葉をどう理解したか今となっては覚えていません。腰が入るとはどういうことなのか意味は分かりませんでしたが、すごく大事なことを指摘されたような気持ちになったものです。
ゴルフレッスンでは正確な意味の分からない表現がよく使われることがありますが、僕はその代表的なものが「腰を入れろ!」という言葉だと思っています。「腰を入れろ」という言葉ほどもっともらしいアドバイスに聞こえ、でも実は言われた方は具体的にどういう動きなのか理解できない言葉はないからです。そもそもゴルフスイングで腰を入れるとはどういう動きなのでしょう。英語で「腰を入れろ」という意味に該当する腰の動作を表現する言葉を聞いたことはありません。ちなみに野球界でもよく使われるこの言葉ですが、プロ野球OBに質問してもはっきりした答えは帰ってきませんでした。それなのに「もっと腰を入れて!」という言葉はどこの練習場に行っても頻繁に耳にします。いい機会なのでネットでいろいろと検索してみましたが納得のいく説明を見つけることができませんでした。
唯一なるほどと思ったのは、腰を入れるという表現は構えた時の姿勢や動作のために使うというものでした。これは武道のことを書いてあるサイトに書かれていました。確かにより真剣に物事に取り組む際に「本腰を入れる」と言いますが、これは動作というより心構えの意味合いが強い気がします。ということはゴルフにおいて腰を入れるという言葉の持つ本来の意味はスイング中の腰の動作ではなく構え方、アドレスの時の腰あるいは骨盤の形の作り方ということになるのではないでしょうか。アドレスしたときにお尻が下がっている人に「腰が入っていない!」とアドバイスして骨盤の形を整えさせるのは正しいアドバイスだと思います。
他にも「腰を切る」という言葉もレッスンで普通に使われている言葉ですが、よくよく考えると変な言葉です。「腰を入れる」と「腰を切る」という動作の違いを明確に説明すると、どんな違いになるのでしょうね。何となくですが、腰を入れるは力強さを感じて、腰を切るはスピード感を感じたりもしますが、いずれにせよこのような曖昧な言葉でレッスンをするのはどうかと思います。
このようにレッスンを受けている時に当たり前に使われている言葉でも意味がよく理解できない表現は少なくありません。そして意味の伝わらない言葉の多いレッスンは、はっきり言って無意味だと思います。僕ら教える立場のコーチは、その言葉に対して責任を持たなければいけないといつも感じています。
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信川 竜太 (のぶかわ りゅうた)
1971年3月27日生まれ。(株)スリーバーズ代表取締役。スポーツキャスター、DJ、MC、リポーターとしてスポーツを中心にテレビ、ラジオなどで活躍中。その一方で、ゴルフコーチとしても活動している。信川氏がゴルフの道を志したのは福大大濠高校1学年時。卒業後、フロリダ州ブロワードジュニアカレッジに入学(のち、フロリダ・リン ユニバーシティーに編入)。在学中、トーナメントでタイガー・ウッズの上位に入る結果を残した。2006年1月に(社)日本プロゴルフ協会 PGAゴルフティーチングプロの資格を取得。10年10月、福岡市東区多の津にスポーツ塾を開講した。関連キーワード
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