美肌生活の必須アイテムに成長中のシートマスク(前)
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日韓ビジネスコンサルタント 劉明鎬(在日経歴20年)
韓国のある化粧品メーカーの社長が中国に行ってみると、中国人はマッサージを受けた後、シートマスクを顔につけ、マスクから流れるエッセンス液を肩や首などに塗っていることを何回も目撃したという。中国人はマッサージショップだけでなく、お風呂に行く時もシートマスクを持って行き、同じようなことをするという。
中国人のこのような習慣のせいか、中国ではシートマスク市場が伸び続けている。中国のシートマスク市場は化粧品市場全体を牽引しているほど、市場の成長が力強い。中国シートマスク市場は2012年を起点に成長をはじめ、14年には売上高成長率が19.72%を記録、化粧品市場のなかでは先頭を走っている。毎年20%近い成長を続けているシートマスク市場は、25年には1兆3,000億円程度の市場規模になるだろうと予測されている。
このような中国市場成長の恩恵を蒙って、急速に成長を遂げた韓国企業がある。(株)ジェイジュンである。同社は15年に創業し、その年の売上高は180億ウォン、2年目である16年には1,800億ウォンの売上高を計上した企業である。普通ではありえない急速な成長である。この時期に普段は20億ウォンか30億ウォンくらいの売上高しかなかった企業が急に数百億ウォンの売り上げを上げるようになった時期でもある。同社も全体売上高の8割は中国市場で占められ、年間4,000万枚のシートマスクを中国に輸出していた。
しかし、このような良い話も今は昔話で、韓国の化粧品会社の状況は急変している。勿論今でも中国市場で奮闘している韓国のシートマスクメーカーがないわけではない。ところが、高高度防衛ミサイルTHAAD配備に対する中国政府の反発の影響と、中国ローカル化粧品会社の台頭で、市場は大きく様変わりしている。
中国のインターネットで販売されているシートマスクの価格をみると、中国市場の状況が良く理解できる。中国製のシートマスクの平均価格は54人民元、韓国製は81人民元、米国およびヨーロッパ製は133人民元、日本製は128人民元になっている。中国人は価格に敏感で、今はほぼ8割が価格の安い自国の製品を買っていて、韓国製の市場占有率は10.5%くらいになっている。
シートマスクはもともと、化粧品を買う時にサービス品として提供されていたものだった。ところが素材と原料が進化することによって、シートマスクは化粧品の一つのカテゴリとして成長するまでになったわけである。
シートマスクの最初の材質は不織布であった。不織布は価格が安く、材料の確保が容易で、材料の供給が安定していたので、シートマスクの普及に貢献した。その次に登場したのが純綿である。純綿は天然繊維で、肌に刺激が少なく、吸収力と吸着力にすぐれていたため、歓迎された。その次に登場した材料はハイドロゲルである。このハイドロゲルは吸収力、密着力、クール感などがあり、テレビショッピングなどで人気を博して有名になった。
既存の不織布や純綿の場合にはエッセンス液が垂れ落ちることがあったが、ハイドロゲルはそのような問題を解決した初の材料で、シートマスクが市場に定着するようになったきっかけを提供したと言っても過言ではない。そして、最後に登場した材料はバイオセルロースである。微生物を培養してシートを作ることになるので、天然で肌に良い。材質だけではなく、エッセンスも進化を遂げていて、各社の競争は激しい。
(つづく)
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