博多湾海難死亡事故、問われる安全配慮義務~第1回口頭弁論
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昨年11月に発生した博多湾の海難死亡事故。亡くなった林竜三さんの遺族は、林さんが勤務していた福岡市の地場マリコン・博多湾環境整備(株)(本社:福岡市博多区、木内俊弘代表)に損害賠償を求め、福岡地裁に提訴。10日、第1回口頭弁論が行われた。企業の安全配慮義務が問われている裁判である
事故が起きたのは、2016年11月11日午後6時30分頃。林さんは、東浜ふ頭(福岡市博多区)に作業船を係留した後、海中に転落したと見られる。遺体は翌日、博多湾内で見つかったが、警察の調べで事件性はないとされている。
訴状によると、林さんが乗っていた作業船は、船員労働安全衛生規則(国交省)で、船内外の通行の際に用いなければならない「歩み板」(幅40cm以上)が設置されておらず、転落する危険性があった。また、海上保安庁の指針で「乗下船時は2人以上の配置が望ましい」とされているが、事故発生時、作業船にいたのは林さんのみで転落に気づかれない危険性もあった。福岡地裁による証拠保全手続きでは、航海日誌の不作成が指摘されており、博多湾環境整備のコンプライアンスの意識にも疑問が持たれている。
遺族側によると、林さんが海中に転落したのは2度目。最初の転落以来、体のしびれを訴えることがあったという。遺族側は、歩み板などの転落防止措置や複数人配置といった安全配慮義務がはたされていなかったことから被告=博多湾環境整備の責任を追及する考え。被告側は請求棄却を求めて争う姿勢を示した。
【山下 康太】
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