韓国経済ウォッチ~がんの早期発見に期待が高まるがんマーカー(前)
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日韓ビジネスコンサルタント 劉明鎬(在日経歴20年)
日本人の死亡率1位はというと、がんである。がんの発病は遺伝的な要因よりも、生活習慣、環境などの後天的な要因がもっと大事であることはすでに知られている。がんといっても、種類は様々で、進行の仕方や対処の方法なども全部違っていて、がんは本当に厄介な病気である。がんの中には、胃がん、大腸がん、乳がんなどのように発病してからがん細胞が発見されるまでの期間の長い、すなわち進行が遅いものと、白血病、肺がんのように発病からがん細胞の発見まで期間の短い、すなわち進行の早いものがある。
進行の早いがんの場合には、なかなか早期発見がむずかしいようだ。また膵臓ガンのように、あまり自覚症状もなく、そのため発見も難しく、また発見されたとして治療が困難ながんもある。発見自体が難しいので、がんが発見された時点では、がんはすでにかなり進行している場合が多い。
しかし、何とかがんが早期発見できれば、より多くの患者の命を救うことも、それからがんを早期に治療することもできるようになるだろう。がんを早期発見するのに一番有力な方法は、がんマーカーである。そのため、がんマーカーの研究は世界的に進められている。今回はがんマーカーについての最近の動向をご紹介したい。職場で健康診断を受ける時に、オプションとしてがん検診を勧められたことがある方は多いだろう。がん検診では、血液検査をすることによって、がんが発生しているかどうかを判断する。がんの発生の有無を判断する際に用いられるのが、がんマーカー(腫瘍マーカーともいう)である。がんは増殖を繰り返し、その際にタンパク質を発生させる。がんマーカーとは、がん細胞によってつくられたタンパク質で、健康なヒトにはあまり発見されないが、がん患者に多く発見される物質である。この物質の量や有無を測ることによって、がんを診断することができる。
たとえば、前立腺がんの場合、PSAと呼ばれる糖とタンパク質が結合した物質ががんマーカーになる。ところが、残念なことに、PSAは健常なヒトの細胞にも微量存在していて、PSAがあるからといって前立腺がんであると確定できない。さらに、がんマーカーのもう1つの弱みは、がんの初期には、がんマーカーは血液中に現われてこないので、がんの早期発見はむずかしいという点だ。
このようながんマーカーの信頼性に原因があるかどうか分からないが、日本ではがん検診の受診率が意外と低い。乳がんの場合、ヨーロッパではがん検診率が70%、アメリカは80%であるのに対して、日本は30%を下回っている。受診しない理由として、時間がないということが一番に上げられているが、日本ではもっとがん検診を有効に活用する必要があるだろう。医療技術がかなり発達したことによって、がんマーカーにおいても、最近著しい進展があるようだ。日本の国立がんセンターでは、少量の血液だけで、13種類のがんの早期発見ができる検査法を開発したという。マイクロRNAは遺伝子が過剰になるとか、不足になるようなことがないように、遺伝子を調節をする役割をする物質である。このマイクロRNAは遺伝子の発現に関わっていて、これが正常に働かないと、がんなどの病気が発生する可能性があることが明らかになっている。国立がんセンターでは、マイクロRNAを検査することで、がんの発生の有無、また、がん種も判断できるという。それに、今までのがんマーカーが抱えていた問題点の1つであった精度もかなり向上させたようだ。国立がんセンターは18年にこれの実用化を目指し、複数の大学と提携して臨床を進めている。
(つづく)
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