2024年11月17日( 日 )

スルガ銀行~「かぼちゃの馬車」への融資を検証する(中)

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1.静岡地銀(4行)の概要について

 第一地銀は3行(静岡銀行・スルガ銀行・清水銀行)。第二地銀は1行(静岡中央銀行)の計4行。静岡県の人口367万人に対して、一行あたりのパーヘッドは918千人であり、金融激戦区であることがわかる。
 【表1】を見ていただきたい。

この表から見えるもの

◆スルガ銀行と静岡中央銀行は沼津市(197千人)に本店を置いている。静岡県で一番古い地銀はスルガ銀行で1895年(1895年)10月19日の設立。かつて沼津市は東京と大阪を結ぶ東海道の主要都市であったことがわかる。
・両行の差は大きくスルガ銀行が預貸金とも6.7倍のボリュームとなっている。そのため静岡中央銀行は三菱東京UFJグループの傘下に入っている。

◆静岡銀行と清水銀行は県庁所在地の静岡市に本店。設立は清水銀行が古いが預金残高では6.9倍、貸出金残高では7.4倍と大きな差がでている。
・全国に20の政令指定都市があるが、静岡県は静岡市(697千人)と浜松市(806千人)の2つ。しかし静岡市は人口70万人を切って最下位となっており、人口の減少が大きな問題となっている。

◆預貸金残高を見ると、第1位は静岡銀行、以下スルガ銀行、清水銀行、静岡中央銀行の順となっている。

※クリックで拡大

2.静岡地銀(4行)の預貸金計数について

 【表2】を見ていただきたい。預貸金残高の内訳である。

この表から見えるもの

◆譲渡性預金を常時取り入れているのは静岡銀行だけとなっている。清水銀行は期末に預金残高調整のために導入しているが、スルガ銀行と静岡中央銀行はその取り組みはなく、大手企業との取引は浅いようだ。

◆静岡銀行・清水銀行・静岡中央銀行の3行は貸出金の内訳を「消費者ローン」と記載。一方ス
ルガ銀行は「個人ローン」としている。そこには消費者金融会社と見られたくないための工夫があるようだ。この記載の仕方にもそれぞれの思惑が秘められているように思われる。

(A)静岡銀行・清水銀行・静岡中央銀行の内容
◆静岡銀行の貸出金に対する消費者ローン残高の比率は37.2%。そのうち住宅ローンの比率は
32.8%と高いが、その他ローンは4.4%と低く、堅実経営をモットーにする銀行らしさがうかがえる。
・清水銀行の消費者ローンの割合は31.0%。住宅ローンは20.2%とほか行と比較するとやや弱い。その他ローンは10.7%と高くなっており、スルガ銀行の動きに影響を受けているようだ。
・静岡中央銀行の消費者ローンの割合は30.9%。住宅ローンは30.1%。その他ローンの比率はわずか0.8%しかない。親会社の三菱東京UFJグループが2008年9月15日に発生したリーマン・ショックの轍を踏むことがないようにと自粛を求めている様子が伝わる。

(B)スルガ銀行の内容
◆スルガ銀行の貸出金3兆2,860億円に対する個人ローンの残高は2兆9,634億円。その比率は90.2%。住宅ローンは62.5%と高く、積極的に取り組んでいるのが見える。

◆消費者ローンを除く貸出金の比率を見ると静岡銀行62.8%。清水銀行69.0%。静岡中央銀行69.1%といずれも60%台。しかしスルガ銀行はわずか9.8%で3,226億円しかなく、静岡中央銀行の3,355億円より少ない。この計数からスルガ銀行は地銀のなかでも、個人ローン専門の特異な銀行であることが読み取れる。
・総貸出金の27.6%を占めている「その他ローン」の残高は9,084億円。問題の「かぼちゃの馬車」への貸出金はその中に含まれているのがわかる。

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(つづく)
【(株)データ・マックス顧問 浜崎裕治】

 
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