2024年11月14日( 木 )

産廃処分場の譲渡示す「誓約書」発覚~「和幸商会」差し押さえ逃れの可能性

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 取締役会・株主総会の偽装が発覚した、福岡市博多区の産廃処分業、(株)和幸商会。役員の辞任届や議事録の偽造も判明している同社において、株主の知らぬところで交わされていた文書がもう1枚見つかった。それが、昨年11月1日に和幸商会と(株)盛大の間で交わされた「誓約書」である。

過去の不正が要因か

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 添付の文書を見てほしい。和幸商会と「盛大」の間で交わされた誓約書で、内容は和幸商会が安定型埋立処分業の許可と、土地を含むすべてを盛大に譲渡するというものだ。この文書についても、株主である吉岡直之氏は知らされていなかった。産廃処分業の許可は福岡市から認められたもので、営業譲渡された場合には新しく許可を得ることが必要になる。

 和幸商会には、誓約書を書かざるを得ない事情があった。それが過去に犯した助成金不正受給の返還義務である。2013年12月、福岡労働局は、和幸商会が「雇用調整助成金・中小企業緊急雇用安定助成金」を不正に受給したことを公表している。不正に受給した助成金は約6,700万円。和幸商会の現状では支払えるみこみはない。所有不動産は差し押さえされており、売上が和幸商会の口座に入れば、すぐに持っていかれてしまう。それを防ぐためには、売上金をどこかに流す必要があった。

誰が最も利を得るのか

 そこで、盛大の口座を利用したと考えられる。関係者への取材で昨年11月以降に、処分費用の振り込み先が和幸商会から盛大へと変更されていることがわかった。さらに、和幸商会の売上回収役は柏田氏が務めているという。盛大へすべてを譲渡したかたちにしておけば、取引先も怪しむことなく盛大へ費用を振り込む。こうして和幸商会は差し押さえから逃れることができるというわけだ。

 最も利を得るのは誰か――。差し押さえを逃れた和幸商会ではなく、柏田氏が技術管理士を務める盛大だろう。盛大は事業実態がないにもかかわらず、本来なら和幸商会が受け取る産廃処理費用を得ている。両社間でどのような取り決めがあるのかは不明だが、箭内伊和男氏(和幸商会代表)は盛大の役員でも株主でもないため力は及ばない。仮に、柏田氏が反旗を翻した場合、何の保証もないまま、和幸商会は切り捨てられることになる。

【東城 洋平】

▼関連リンク
・首謀者は国政出馬経験のある元・JFL監督~産廃処分場「乗っ取り」事件
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・偽装された議事録 前代未聞の乗っ取り劇第2幕~「和幸商会」

 

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