『脊振の自然に魅せられて』涼を求めて・沢登り
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今年の暑さは格別で、連日猛暑が続いています。福岡市では35度以上の猛暑日が続き、最高気温が38.2度になった日もあり、まさに酷暑です。
夏の山は沢に限ります。毎年、脊振山系の沢へ入るのが恒例になっていますが、今年はとくに沢に入るのが待ち遠しかったものです。
脊振山系には大小、多くの沢があります。春は水の少ない沢へ、ニリンソウ鑑賞の山旅に、夏は大きな沢に入渓します。
沢の水で火照った体を冷やし、滝のクライムシャワーを浴びる快適さ、全身にマイナスイオンをいっぱい浴びる沢登りは夏山の醍醐味です。福岡市早良区百道の自宅から車で30分、入渓ポイント(登山口)に着きます。メンバーに声を掛け、スケジュールを調整、福岡市早良区の曲渕ダム上部の野河内渓谷へ。ここの遊歩道は『脊振の自然を愛する会』で5年間整備してきた場所でもあります。
今年は7月上旬の豪雨による土砂くずれの情報がありましたので、野河内渓谷と水無鍾乳洞に続く林道を視察しました。野河内渓谷は大きな流木があるところもありましたが、行く手を阻むほどの状況ではありませんでした。
そして豪雨のおかげで渓谷は洗い流され、清らかな流れになっていました。「これなら行ける、上部は流木があるかもしれないが入渓には支障はない」と判断しました。7月27日(金)、都合がついたワンゲルOB3人(脊振の自然を愛する会)で野河内渓谷に向いました。
野河内渓谷は室見川の源流で、その源は水無鍾乳洞です。途中、水がいったん地下に潜り、再び伏流水となって地上に流れ出ています。これが“水無”の謂れです。
従って、ほかの沢の水と違い、水温が3度ほど低く、足を入れると、とても冷たく感じます。今年の暑さで火照った体にはとくにそうです。
野河内渓谷の約700mの遊歩道の上部は魅力的な滝が点在し、落差20mの大滝もあります。また泳いで渡れる場所もあります。変化に富んだすばらしい渓谷です。
長年、九州の沢を体験してきた先輩で、アルピニストのTさんは、ここが脊振山系で一番変化に富み、魅力ある沢だと言います。「ザイルもほとんど使わず、高巻きすれば、やり過ごすことができる」とお気に入りのようです。
雨が少ない年は、渓谷の岩に苔がつきヌルヌルして歩きにくいのですが、今年は豪雨の影響により、本当にきれいな渓谷となっていました。休憩ポイントでは心ゆくまで渓谷美を楽しみました。
70歳を過ぎ、こんな大自然を満喫できる健康のありがたさを感じながら、携帯食を食べながら、癒しのひとときが静かに過ぎていきました。滝もなくなり静かな流れになる上部の場所まで遡行し、多くの倒木がみえてきたポイントへ。そこから5分ほど藪漕ぎをして渓谷と並行している林道へ上がり、一休みしてから入渓ポイントへと戻りました。
齢70歳を超えた山男たちが、沢登りで五感と全身を使い、渓谷の自然美と変化に富んだ沢の流れを味わえた最高の3時間でした。
※ 沢登りは必ず熟練者と同行してください、危険をともなうので、十分な装備と体力が必要です。
2018年7月29日
脊振の自然を愛する会 代表 池田 友行関連キーワード
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