井筒屋が3店舗閉鎖~厳しさ増すデパート業界(6)
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~閉店する3店舗の概要について~(2)【表1】を見ていただきたい。
<この表から見えるもの>
◆営業を終了する3店の18年2月期の売上高は計260億円で、全社売上高783億円の3分の1を失うことになる。売上高が大きく落ち込むことで、ブランド誘致や仕入れ交渉は一段と厳しくなりそうだ。・シニア層が主要顧客の井筒屋の店舗閉鎖は、周辺の商店街における顧客離れを招き、地域経済の縮小が予想される。
・井筒屋黒崎店はかつての黒崎そごう、コレットは小倉伊勢丹の撤退後に進出した。それぞれ大手が運営に苦しんだ店舗を自社の商圏防衛や地元からの強い要請のため引き継いだ経緯がある。賃料引き下げ交渉が思うように進まなかったことが、閉店の大きな要因となったと見ていいだろう。
・コレット出店への経緯を見ればその厳しさが見えてくる。「小倉そごうの土地は1969年(昭和44年)11月27日午後11時35分に取得した」と小倉そごう社長だった水島広雄氏は述懐しているが、開業は土地取得から24年経過した1993年11月28日(平成5年)だった。並々ならぬ苦労の果てに開業にこぎつけた小倉そごうであったが、7年弱で閉店に追い込まれたのだ。
・その後は小倉玉屋、小倉伊勢丹、井筒屋がコレットを経営したが、すべてが閉店に追い込まれることになり、後継の誘致はかなりの時間を要すことになりそうだ。
~株価について~ 【表2】、【表3】を見ていただきたい。過去4年の株価推移表である。
<これらの表から見えるもの>
◆井筒屋が3店舗の閉店を発表した7月31日の株価(終値)は331円だったが、翌8月1日の株価は前日比▲10円の321円となった。それから2週間経過した16日には今期最安値の275円となり、前月末比▲56円。閉店の影響は株価を直撃しているのがわかる。◆2014年2月期末の株価は800円。2015年2月は620円。2016年2月は510円。2017年2月は396円。2018年2月は407円で4年前と比較するとほぼ半値となっている。8月6日から株価は200円台となっており、予断を許さない状況となっている。
~北九州市の反応~
◆北橋北九州市長は8月1日の記者会見で、「いったん空いてしまったときに、またもう一度後継店を埋めるというのは大変な作業になると思います。そういう話し合いも何もないままに、突然やめたと。そういう話が進んだということは大変遺憾に思っています」と述べ、一報が北橋市長に伝わったのは直前の7月30日だったという。井筒屋が突然閉店を発表したことに不信感をあらわにしたものの、コレットが入居しているビル(セントシティ北九州)を管理運営する北九州都心開発(株)や井筒屋黒崎店を管理する(株)メイト黒崎に対して、「大変残念だが建物の所有者の考えを聞き、何ができるか検討したい」と語った。このままでは北九州市の人口がさらに減少し、地域経済が縮小することに危機感を抱いての発言だが、反面、井筒屋にとっては生き残るための切り札だったといえよう。
筆者は銀行員時代、ダイエー、マイカル、そごう、寿屋などの流通業界の栄枯盛衰を見てきた。時代の流れに逆らって生きていくことは「難しい」の一言に尽きる。はたして井筒屋の生き残りを賭けた3店舗閉鎖はそれを乗り越えるための決断なのだろう。今はただその成否をそっと見守っていくことにしたい。
(了)
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