2024年11月25日( 月 )

どうなる?(株)北斗産廃不法投棄問題(2)~責任は排出事業者へ

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 佐賀県鳥栖市で産業廃棄物の中間処理場を運営していた(株)北斗が起こした不法投棄問題。事件発覚から4年が経過した今年7月、鹿児島県に不法投棄された廃石膏ボードの処理をめぐり、同県は排出事業者に対して自主撤去の方針を照会した。北斗関係者らによる自主撤去が進まないまま、ついにその責任が排出事業者に向けられたかたちだ。7月末に開催された鹿児島県による説明会には、北斗に処理を依頼した排出事業者が多数参加。「納得できん!」―と、参加者からは不満の声が相次いだ。

撤去に応じない北斗

 不法投棄発覚で谷山氏が逮捕されて起訴、判決確定後、昨年2月、鹿児島県は北斗に対して全量撤去の措置命令を出している。しかし、北斗関係者は応じなかった。今年3月、措置命令の履行期限が過ぎ、責任の所在は排出事業者に移ったかたちだ。鹿児島県は3年前に排出事業者を特定し、搬入量などをヒアリング。これを基に排出事業者リストを作成し、今回の説明会実施に踏み切った。

 谷山氏へのヒアリングでわかったのが、北斗から鹿児島県へ搬出された不法投棄の期間と量。12年5月から14年8月までの約2年3カ月で、鹿児島県志布志市内の山中2カ所に、合わせて8,500m3が埋められたことがわかった。

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逃げられない「排出事業者責任」

 「なぜ、適正に処理費用を支払った排出事業者の責任が問われるのか」―実際に不法投棄を行った業者と、その不適切な業者に処理を委託した業者が最後まで責任をとるべきだというのが、一般的な考え方だ。

 しかし廃掃法には、「事業者はその事業活動に伴って生じた廃棄物を自らの責任において適正に処理しなければならない」と定められており、「他人に委託したとしても、委託先で適正処理できない場合は、委託した側(排出事業者)に責任がある」ということになっている。これが「排出事業者責任」といわれるものだ。

 今回、北斗関係者が撤去命令に応じなかったために、排出事業者に撤去を求めようとしているのは、それを根拠にしたものだ。不法投棄された廃棄物から排出事業者が特定され、社名の公表がされる場合もあり、そうなれば会社のイメージが大きく傷つくことになる。

説明会で不満爆発

 さて、鹿児島県廃棄物・リサイクル対策課が今年7月に開催した北斗関連不法投棄の説明会では、説明会の趣旨説明、回答書提出などの資料解説、質疑応答の順に行われた。県が参加者に求めたのは、自主撤去の方法を選択し、表明してもらうことだった。

 撤去方法は大きく分けて、A「自社による個別自主撤去」、B「費用負担での共同自主撤去(鹿児島県産業資源循環協会による)」の2つ(選択肢にはC「そのほか」というものも設定されている)だ。「AかB―どちらかを選べ」という内容自体はわかりやすいものだ。

 だが、こうした行政の対応について、説明会での質疑応答の際、参加者から「もっと北斗の責任を追及してくれ」「行政の管理不足が招いた結果ではないか」「なぜ我々、排出事業者が痛い目をみないといけないのか」などといった不満の声が相次いだ。

 

(つづく)
【東城 洋平】

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