【続報】産廃不法投棄事件の真相(6)~不明確が不安を生む
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佐賀県鳥栖市で産業廃棄物の中間処理場を運営していた(株)北斗が起こした不法投棄問題。事件発覚から4年が経過した今年7月、鹿児島県に不法投棄された廃石膏ボードの処理をめぐり、鹿児島県は北斗に処理を委託した排出事業者に対して自主撤去の方針を照会した。北斗関係者らによる自主撤去が進まないまま、ついにその責任が排出事業者に向けられたかたちだ。鹿児島県は7月末から複数回にわたって、排出事業者向けに説明会を開催。「納得いかない!」と参加者から不満の声が相次ぐ中、説明会では語られなかった事実が判明した。
審査請求の回答はいつか
鹿児島県へ排出事業者から聞いた疑問点をぶつけたが、説明会での回答と同じく、納得のいく回答は少なかった。確かに鹿児島県としては、不法投棄された側であり、「被害者」と言ってもいいだろう。それに対応しないといけない行政の悩ましい部分もわかる。それでも、明確に撤去を表明したのは500社中、たった195社(A+B)で、残りははっきりしないのが現実だ。
今回の説明会や鹿児島県への取材で感じたのは、説明のなかに不明確な点が多いことだ。
排出事業者に通知した撤去対象量の合計も、実際に不法投棄された総量も、その撤去費用の目安もわからない。北斗が置かれている状況も説明がないまま、鹿児島県は排出事業者に撤去を申し入れていた。これでは一方的過ぎないか。
谷山氏からの報告徴収による「8,500m3」に関しても、裏付けるものはなく、それを鵜呑みにしている。根拠となる数字の積み上げで、ようやく総量が算出されると思うのだが、県に報告されたのは、たった2行の説明だったというのは、驚きだった。
説明会の開催が早期に実行されたことは、周辺住民にとってはいいことだ。
しかし問題を解決するには、多くの排出事業者の協力が必要だ。徹底した調査を行ってから、説明会を開催すべきではなかったか。すべてをクリアにしていれば、排出事業者の心情も違ったものになっただろうし、自主撤去に応じる会社も増えていたのではないか。このような状況で県が一方的に撤去を進めることは難しく、排出事業者を納得させる根拠や説明を重ねていくしかない。
北斗関係者が主張する通りだとすれば、審査請求の回答を待って次の段階へ進んでいく。具体的にどの規模で撤去に応じるのか、明らかにされるだろう。仮に審査請求の回答を早める手立てを鹿児島県がもっているのなら、連携しあって、事態を前に進めるしかない。
同時に谷山氏のいう「8,500」という数字を鵜呑みにするのではなく、実測により撤去すべき量を明らかにすべきだ。それをもとに撤去費用の概算を出して提示すれば、自主撤去に応じる排出事業者は増えていくはずである。「先が読めないから、応じられない」という事業者は相当数いるはずだからだ。
「撤去対象量はわずか」と気にもとめない事業者がいる一方で、「とても撤去費用を工面できそうにない」と深刻そうに頭を抱える事業者もいる。「実際に撤去が始まるまで、数年かかる」と多くの関係者が答えているが、誰もが問題の早期解決を望んでいる。
(了)
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