『脊振の自然に魅せられて』~すばらしい樹氷のプレゼント
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脊振山(標高1,055m)では冬になるとすばらしい雪景色が見られる。天気予報で雪の情報が出ると前日に撮影の準備と防寒対策をして夜が空けるのを待つ。
福岡市早良区椎原のバス停を経由し、県道136号の板谷集落から自衛隊道路を登り切ると脊振山頂駐車場に行くことができる。また佐賀方面から脊振神社を経由して行くことも可能だ。脊振山系で唯一、山頂直下に行けるのが脊振山なのだ。
この駐車場は航空自衛隊の脊振レーダー基地に隣接している。基地の入り口では隊員がゲート入り口を見守っている。
春夏秋は多くの登山者や家族連れが脊振山に登山にきているが、冬場はチェーン装備が必要で、車では気軽に行けない。雪が降るという情報があった翌日早朝、冬タイヤ装備の四輪駆動車で自宅を後にする。
自宅の早良区百道から脊振山方面へと車を走らせると脊振山の山肌が白くなっているのが見える。「今日はどんな光景が見られるのだろう」と期待感に胸を弾ませながら車を走らせる。運転しているとタイヤが雪を踏みしめる「グーグー」という音が体に響いてくる。
板谷集落に続く板谷峠(海抜700m)の積雪は10cm、タイヤを滑らせないよう慎重な運転を続ける。急カーブが多い登り道を慎重にハンドルを切りながら車を走らせると、半分登りきったところですばらしい光景がフロントガラス越しに眼前に飛び込んできた。純白の雪を被ったたくさんの樹木、冬ならでの光景だ。
路肩に車を寄せ、ザックからカメラを取り出しシャッターを切る。積雪15cmの雪道を長靴で踏みしめてベストのアングルを探る。静かな山道で車のエンジン音とカメラのシャッター音だけが響いてくる。雪景色のなかで熊笹もすっかり雪を被って頭を垂れている。
この場所からさらに5分、車で登ると山頂駐車場に着いた。早朝なので車が1台も停まっていない。雪の轍が撮影に支障をきたさないように駐車場手前に停車する。駐車場内に大きな木が1本あり、すばらしい樹氷の華が咲いていた。純白の大地の上に樹氷の華が佇んでいる、なんとすばらしい光景だろう。
自然界がつくり出す絶妙な雪景色に私は感動を覚え、しばらくそこに佇んでいた。その後、カメラのアングルを変えて数枚撮影をする、シャッター音が静かに響く。自然との対話の時間、贅沢な時間でもある。
撮影を終え、折りたたみ椅子を広げ、持参した魔法瓶をザックから取り出し、樹氷の下で静かにコーヒーをカップに注ぐ。冷えた体にあたたかいコーヒーが喉から胃に流れ落ち、体に暖かさを感じた。
「脊振ってすばらしいな。自宅から1時間でこんなすばらしい場所があるなんて」と心の中でつぶやく。まさに至福の時間である。脊振を愛する私への自然界からのプレゼントのようだ。
しばらくすると隣接する航空自衛隊の基地から時を知らせるラッパの音があたりにこだました。「そろそろ帰るとしよう」
帰宅してすぐ、某テレビ局に写真を提供した。当日、夕方のテレビ番組で「脊振山で素晴らしい樹氷が見られました、写真提供は池田友行さんです」と放送された。
※樹氷が見られるのは気象条件によります。毎年見られるとは限りません。
2019年1月9日
脊振の自然を愛する会
代表 池田 友行関連キーワード
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