100億円超の売上高を計上し続ける 強さの秘訣は『人づくり』にあり(中)
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照栄建設(株) 代表取締役社長 冨永 一幹 氏
『人』の重要性
―建設業界に限らず、異口同音に「人手不足」と聞かれます。
冨永 「人手不足」という言葉が1人歩きしているような印象を受けます。将来においてそうなると言われれば理解はできますが、現状で本当に人手が不足しているとは思えません。幕末・明治維新期には、日本は世界人口の約5%を担っていたとされます。それから人口は伸び続け、1億2,000万人を超えるまでに増加しました。歴史の流れのなかで見れば、人口は長い期間、増加傾向にあったわけですから、人手が不足しているというよりは、事業者の数が増えすぎているのではないかと思われます。たとえば、サービスの多様化によって店舗数は増えました。飲食店1つをとっても、アジア料理からフレンチ料理などさまざまです。当然、同業者の数も多くなり、それぞれの店舗に人手が必要となります。そうなると、人手不足を感じるのは当たり前です。また、コンビニエンスストアを始め、24時間営業の店舗が増えたことも人手不足を感じる一因といえるのではないでしょうか。
少子高齢化が進むなか、将来的に人手不足になるのは間違いないでしょう。しかし、現在声高に叫ばれている人手不足に関しては、ビジネスモデルを見直すことで対応・改善できる範囲のものではないでしょうか。
―外国人技能実習制度についてはどうお考えですか。
冨永 単一民族国家としての歴史が長い日本人にとって、外国人労働者と一緒に働くことに、最初は抵抗を覚えるでしょう。また、労働力として移民の受け入れを推進してきた国で、成功した国はありません。これらのことからも、多少の衝突は生まれると思います。外国人を労働力として受け入れるのであれば、事前教育の内容を拡充させることが必須だと考えます。日本語の読み書きだけでなく、日本の文化についても一定の水準で学んでもらったうえで、受け入れる。労働力が欲しい日本企業と、日本で相応の収入を得たい外国人労働者との単純なマッチングではなく、双方が共感・納得したうえで仕事に取り組めるようにするための仕組みづくりが大切です。―建設現場では高度な技術も必要になってきます。
冨永 1つの建物を完成させるまでの工程では、1ミリ単位を競い合います。そういう文化のなかで仕事をしているということを、外国人だけでなく、私たち日本人も学び直さなければいけません。先達が遺してくれた技術や仕事との向き合い方などを、後進が知る機会を設けることも必要です。私は社内で若手社員と会話する時間を可能な限りつくるようにしています。堅苦しい話ではなく、シンプルにものづくりの面白さが伝わるような話をするように心がけています。俗に3K(きつい・汚い・危険)と呼ばれる建設業界ですが、自分の手で1つの建物をつくり上げていく面白味はほかでは味わうことができません。仕事を通じて達成感を得ることができれば、自ずとものづくりが楽しく思えるはずです。技術の承継は人から人へと受け継がれていくものです。どれほど技術が進歩しようとも、この根幹が変わることはありません。だからこそ、技術の担い手を自分たちの手で育てていくことも忘れてはいけません。
(つづく)
【代 源太朗】<COMPANY INFORMATION>
代 表:冨永 一幹
所在地:福岡市南区向新町2-5-16
設 立:1972年6月
資本金:7,000万円
売上高:(18/5)147億2,955万円<プロフィール>
冨永 一幹(とみなが・かずもと)
1969年6月14日生まれ。福岡県春日市出身。福岡大学大学院人文化学研究科教育臨床心理学専攻修士課程修了。2005年4月に照栄建設(株)入社。取締役社長室長、総務部長を経て17年8月1日に代表取締役社長に就任。
法人名
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