大牟田再開発 芝浦G撤退の真相(2)致命的な事業の遅れ
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大牟田市の新栄町駅前地区市街地再開発事業において、建設代行者に選ばれていた芝浦グループが事業からの撤退を表明。期限までに同意書が提出されなかったことで、同事業準備組合が基本協定を解除した。着工目前での芝浦撤退に再開発に期待を寄せる地元は「なぜ?」の声。事業が立ち遅れるため、その責任は芝浦グループに向けられている。一部報道では、「ホテルの採算が合わない」と撤退理由を挙げているが、「それはほんの一部」と芝浦グループ関係者。この2年間事業と向き合ってきた芝浦グループが撤退せざるを得ない理由はほかにあった。
撤退理由その2 「致命的な事業の遅れ」
準備組合から本組合に移行するためには、地権者および業務代行者すべての同意書が必要だった。芝浦グループは撤退せざるを得ない理由があり、同意書を提出しなかったのだが、同じくその同意書の提出を引き延ばした人物がいる。それは36人いる地権者のうちの数名。理由は「自分の土地と建物の評価額に納得がいかない」というもの。彼らは事業関係者に、評価額の見直しを迫った上で、工事の妨害もほのめかしていたという。地元紙では、芝浦グループだけが同意しなかったように報道されているが、実際はそうではなかった。
また組合外の人物が「待った」をかけたこともあった。「事務所棟の場所に地元有力団体が出てくる。保留床を買ってくれるはずだ」と組合外の人物が話を持ちかけてきた。確かに有力団体の進出は大きな話題になるが、その決定が出るまで当然時間がかかることになる。しわ寄せは建設事業に来る。この頃から、事業の遅れを懸念し、着工できればすぐにでも工事が始められるように、芝浦・西鉄グループで工程会議を繰り返していた。
打ち合わせを進めていくなかで、駅舎の移設が問題となった。駅舎が予定の場所に移動しないと、芝浦グループが請け負ったホテル建設は進まない。事業計画では、2年で諸作業をして残りの3年(解体1年、新築2年)の5年がかりの事業計画だった。しかし、西鉄の駅舎移設に2年かかることが判明。5年計画で、諸作業に2年、残り3年しかないのに、駅舎移設に2年かけるとホテル解体だけで1年かかる。ここでもう時間切れとなる。計画完了までを冷静に見積もって、予定より2年以上かかることがわかった。「話が違う」――芝浦グループは建設コンサルタントを役員会に招聘し経緯を説明してもらったが、到底納得できるものではなかった。
大規模現場での2年もの計画の遅れ。企業に求められるのは、ヒト・モノ・カネの調整だが、先の見えない事業の遅れは私企業にとって、大きな損失となる。地権者にとっては、計画実現までの単なる延長かもしれないが、施工者にとってはそうではない。
再開発計画は西鉄新栄町駅の広さ約2haに、ホテル、マンション、高齢者住宅、駐車場などを建設、駅前広場の整備でにぎわいを創出する計画で、総事業費は約118億円(2015年度時点)。地権者は30数名で、芝浦グループも地権者の1人である。2016年度、事業資金の確保と保留床取得者などを確実にするため、ホテルと立体駐車場などは芝浦グループ、分譲・賃貸マンションと高齢者住宅は西鉄グループが建設代行者に決定していた。昨年9月、芝浦グループは準備組合に対し、このままでは事業計画への同意書が出せないと申し入れた。以降、事業継続に向けて協議は続けられていたが、同意に至らず。今年1月、準備組合は基本協定の解除を視野に入れた方針を決議した。1月末、芝浦グループに対し、同意書提出を求めたが、期限の2月15日までに提出されなかったため、2月16日をもって基本協定を解除。準備組合は損害賠償を求める予定がある旨を芝浦グループに通知している。
(つづく)
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