大牟田再開発 芝浦G撤退の真相(5)埋まらぬ溝、舞台は法廷へ
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大牟田市の新栄町駅前地区市街地再開発事業において、建設代行者に選ばれていた芝浦グループが事業からの撤退を表明。期限までに同意書が提出されなかったことで、同事業準備組合が基本協定を解除した。着工目前での芝浦撤退に再開発に期待を寄せる地元は「なぜ?」の声。事業が立ち遅れるため、その責任は芝浦グループに向けられている。一部報道では、「ホテルの採算が合わない」と撤退理由を挙げているが、「それはほんの一部」と芝浦グループ関係者。この2年間事業と向き合ってきた芝浦グループが撤退せざるを得ない理由はほかにあった。
不可解な理事選
準備組合は地権者36名で構成されているが、数名が理事として就任している。定期的な改選もあるが、関係者によると、不審な動きをした組合員がいるという。ある関係者の話では、自分が理事に残るために、組合員から票を集めている者がいたというのだ。もともと芝浦グループ・西鉄グループが理事に就任するという話があった。両者が理事に入れば、組合としても資金的に優位になる。信用があがれば、年利も下がるからだ。立て替え金の使途など、資金の管理も行うとしたが、組合の一部から受け入れられず。芝浦は理事に手を挙げようとしたが最終的には立候補しなかった。西鉄は理事に就任していたが、辞退させられた。この頃から、芝浦サイドは事業継続への意欲を失っていった。
決裂の末に
昨年末、芝浦グループは準備組合の代理人弁護士からの通知を受け取った。内容は「計画通り、2度目の立替金の支払いを求める。そして事業を継続せよ」という主旨のもの。芝浦はいくつかあった質問に回答した。年が明けて1月下旬に再度文書が届く。2週間以内に6,200万円を振り込まない場合、債務不履行とみなし契約を解除するというものだ。期限は2月15日だった。芝浦グループがそれに応じなかったため、準備組合は2月16日に契約に基づき解除すると「一方的」に発表した。
芝浦グループはこれまで述べてきた複数の要因で撤退を決断した。現状では8,9カ月ぐらいの遅れだが、最終的には2年以上遅れるのが確実だと見た芝浦グループは協定には「事業が著しく遅れた場合には解除できる」という条項があり、今回がそれに該当するため、自ら解除したいと回答した。組合からの回答は「解除できない。再開発は遅れて当たり前の事業であり、残りの時間で調整できる。著しく遅れが生じたことには該当しない」というもの。組合の言い分が通れば、そもそも著しい遅れによる解除の条項は意味をもたなくなるのだが・・・。組合側は損害賠償請求という法的措置を取るとみられるが、芝浦グループも「すでに立て替えている代金を返還するよう求めるなど、徹底的に戦う構えだ。
再開発計画は西鉄新栄町駅の広さ約2haに、ホテル、マンション、高齢者住宅、駐車場などを建設、駅前広場の整備でにぎわいを創出する計画で、総事業費は約118億円(2015年度時点)。地権者は30数名で、芝浦グループも地権者の1人である。2016年度、事業資金の確保と保留床取得者などを確実にするため、ホテルと立体駐車場などは芝浦グループ、分譲・賃貸マンションと高齢者住宅は西鉄グループが建設代行者に決定していた。昨年9月、芝浦グループは準備組合に対し、このままでは事業計画への同意書が出せないと申し入れた。以降、事業継続に向けて協議は続けられていたが、同意に至らず。今年1月、準備組合は基本協定の解除を視野に入れた方針を決議した。1月末、芝浦グループに対し、同意書提出を求めたが、期限の2月15日までに提出されなかったため、2月16日をもって基本協定を解除。準備組合は損害賠償を求める予定がある旨を芝浦グループに通知している。
(了)
【東城 洋平】
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