2024年12月26日( 木 )

産学官連携で長命草事業を展開 健康素材としての啓発と地域貢献

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(株)Atopy labo

有機JAS農産物を用いた健康食品の製造販売事業を展開する(株)アトピーラボ。2018年に鹿児島県南さつま市に有機JAS製造工場を建設。鹿児島大学との研究を含め、現地原料を用いた産学官連携による独自原料の開発・供給に注力している。


有機農産物を用いた健康食品事業を展開

 同社は2005年11月に設立。主にアトピー、アレルギー、敏感肌などといった肌トラブルに対応した化粧品の製造販売を展開している。同社代表取締役・田中伊都子氏は、化粧品企業で研究開発をしたキャリアと米国で研究開発のアトピー関連の公益法人理事、代替医療カウンセラー、理学博士などの肩書きをもち、その豊富なノウハウで化粧品開発に注力。同社商品は若年層から中高年まで幅広いユーザー層を獲得。国内だけでなく海外でも安全・安心の化粧品として高い評価を受けている。

 化粧品用品事業のほかに近年注力しているのが、九州地場の有機農産物を用いた自然食品や健康食品の製造販売。同社ならではの厳選したこだわりの素材を用いた商品づくりと体感の良さ、安全・安心な商品を提供していることを訴求ポイントに、通信販売や生活協同組合を通じて販売を展開している。

オーガニック天然健康茶シリーズ

 同社がここ数年注力しているのが、有機JAS規格の農産物を使った健康茶の開発・販売事業で、鹿児島県内で栽培する「長命草」を使った健康茶と青汁などの用途で提案する粉末原料の開発を進めている。長命草は正式名称が「ボタンボウフウ」でセリ科の多年草。草丈は1mほどまで伸び牡丹のような形状で肉厚の葉であることが特長。主に沖縄県などの温暖な海岸地域で自生・栽培されており、「1株食べれば1日寿命が延びる」と、伝統的に長寿の秘訣として伝えられている植物。

 食材のほか、風邪や腎臓病、神経痛対策の民間薬として使われている。ビタミン・ミネラルを豊富に含むほか、ルチンやクロロゲン酸などのポリフェノール類、イソサミジンなどが含まれ、これまで抗酸化や活性酸素抑制、排尿、血流などに期待できるとの研究成果が発表されている。多様な機能性をもつことから、化粧品大手の資生堂が与那国島産の長命草による商品化を展開したことがきっかけで市場参入が相次ぎ、青汁や錠剤タイプのサプリメントを中心に流通されている。

南さつま市と立地協定、有機JAS工場を建設

 同社はその多様な機能性をもつ長命草に着目。生産施設に創出に向け、南さつま市が健康維持が期待できる農作物の栽培や、地産地消事業と市民の健康づくりの推進に向け、13年から長命草の栽培を開始しており、17年に立地協定を締結。10月に同市金峰町にある、用地面積1,235m2、延床面積375m2の旧給食施設を総工費約2,000万円で改装。原料の管理から乾燥・粉末加工、製茶としての充填工程まで一貫製造できる設備を導入し、有機JAS認定を受けた製造施設を建設。同年11月から稼働を開始した。

 同社が製造する長命草の健康茶は茎由来で、烏龍茶やほうじ茶に似た茶色の色見で、焙煎の香ばしい風味が漂う味の良さが特長。同社が提供する健康茶についてはイソサミジンを含有していることにより、前立腺・膀胱による排尿対策として利用されていることが多いという。

 長命草以外にも、有機農産物を用いた健康茶や粉末原料製造については、需要が急増しているキクイモを始め、タンポポ、レンコン、ゴボウ、ビワ、ナタマメなどの商品の開発・販売を展開している。九州で希少な有機JAS認定工場であることを強みに、原料・OEM、最終商品の供給において、高品質で安全・安心で多様な有機加工食品を提供する。事業拡大させ、南さつま市の雇用創出など、地域経済の発展にも貢献につなげていく考えだ。

南さつま市ホームページより参照 ※クリックで拡大

【小山 仁】

<COMPANY INFORMATION>
所在地:福岡市南区皿山2-1-31
T E L:092-541-8188
F A X:092-541-8187
U R L:https://atopy-labo.jp
事業内容:化粧品、健康食品の製造販売

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