【スクープ/音声公開】「塩田大介」が福岡を拠点にねらう、企業主導型保育事業の闇(2)~児童育成協会印の偽造を指示する生々しいやりとり
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■川﨑大資こと塩田大介の「金庫番」を直撃取材
国の助成金を使った企業主導型保育所「KIDSLAND(キッズランド)」をチェーン展開するWINカンパニーの代表で、ABCホーム元会長時代に競売入札妨害で実刑判決を受けた、川﨑大資こと塩田大介氏。塩田氏の詐欺的手法について詳細を明らかにしていきたい。
データ・マックスは昨日(15日)、WINカンパニーの経理を担当している青木誠敏氏(全国子ども保育促進機構株式会社の代表取締役社長/本社:東京都渋谷区)が福岡市内某所に現れるという情報を入手し、取材を試みた。弁護士とともに現れた青木氏は取材に対して終始無言で、助成金詐欺疑惑については「弁護士と検討して回答する」とし、塩田氏の所在については「私の口からは言えない」と繰り返すだけだった。
塩田氏は摘発に備えて「人身御供」として差し出す社員をすでに準備している。その筆頭が、偽造した書類などをもとに公益財団法人児童育成協会への助成金申請を担当している、長崎県雲仙市出身の岡田賢介こと一山賢介氏だ。保育所の運営実務や経理を担当する前出の青木氏と共に、いざとなれば塩田氏の「身代わり」として差し出されることは間違いないだろう。
塩田氏自身は助成金の流用でプールした自己資金を中国や香港などの海外口座に移し替えたという情報もあり、周囲に対して「カジノのチップに替えてしまえば、警察は(資金の)足取りを追えない」などとうそぶいているという。
■生々しい「印鑑偽造」指示の音声を入手
特別取材班は塩田氏の詐欺疑惑を追うなかで、2018年の夏に録音された音声データを入手した。そこに記録されていたのは、塩田氏と一山氏の間で交わされた「密談」だ。児童育成協会の印鑑(社判)を偽造するように塩田氏が一山氏に指示する生々しい声を録音したもので、会話は数十分におよぶ長いものだが、その核心部分が以下のやりとりだ(音声動画も公開)。
(塩田)今日、おれ、しっかり詰めようと思ってるけど。そこでだよ。あんなやつに期待してもしょうがないから、考えたんだけど。許可証(助成金決定通知書を指す)あるじゃない、あれ銀行に出しちゃおうかなと思って。作って。
(一山)うーん、なるほどですね。
(塩田)フライング気味で。それで通用するかどうかだよ。はっきりいえば有印私文書偽造になっちゃうけど。公的機関からお金を取るわけじゃないから。これをIとかにも誰にも言わないよ。もう銀行で「(児童育成協会から助成決定が)出ました」と。
(一山)幸銀(横浜幸銀信用組合)のところに、金山(キッズランド金山熱田園/未開園)の件ですね。
(塩田)金山を放り込めば2億出るし。佐賀銀(佐賀銀行)。そのお金でたとえば2~3億出ればすべて西新もキャッシュで返ってくる。回転もできるし、今止まっている案件も全部動かせると思ってるんだよ。後付けで、許可がばたばたっと出てきたらそれでなんとかなるし。どう思う。
(一山)そうですね。作れないことはないと思います。
(塩田)うん。社判作ってほしいんだよ。印鑑を。でも印鑑屋さんに、「これと同じやつをお願いします」って言ったときに児童育成協会(という文字)を消さないと、「これってなんですか」っつったら「この文字(印鑑)なんだけど」と。
(一山)はいはい。
(塩田)どう思う。
(一山)やることで間違いなくスムーズに進むようにはなりますね。
(塩田)そうなんだよ。あまり広めたくないんだよ。
(一山)内々で…。この印鑑…。内容としては…。そうですね…。ひとつ問題なのはこの番号ですよね、助成決定番号。
塩田氏と一山氏のやりとりのなかで出てくる「社判」「印鑑」とは、助成金支給を決定する児童育成協会の印章のことだ。つまり2人の会話は、同協会が発行する印象入り助成決定通知書を偽造したうえで、それを元に銀行から融資を引き出すという明らかな犯罪行為を練る「悪だくみ」の一場面だったのだ。塩田氏ははっきりと「有印私文書偽造」という言葉を用いており、自らの行為が刑法に抵触することを十分認識していたことは明らかだ。「作れないことはない」と応じた一山氏も同様の罪に問われることは言うまでもない。
添付画像は、平成30年10月22日の日付がついた「平成29年度企業主導型保育事業(整備費)助成決定通知書」(保育施設名:金山熱田保育所/助成額:1億5,060万円)だが、この通知書は2人の偽造計画に基づいて作成された可能性が極めて高いものだ。協会の印章は「公益財団法人児童育成協会理事長」という表記に重ねて押印されており、会話の中で「児童育成協会(という文字)を消さないと」というやりとりがされていたのは、その文字を消すことを指していたとみられる。
協会の担当者は、同通知書が偽造されたものか、また金山熱田保育所について助成金が支給されたかについて「個別案件には答えられない」としている。
■騙された?金融機関の責任
会話中で「幸銀」と名指しされた横浜幸銀信用組合(本店:神奈川県横浜市中区)にも、この偽造された通知書に基づいた融資がなされたのかの回答を求めたが、締め切りまでに回答はなかった。
川﨑大資こと塩田大介氏は暴力団関係者との関わりも深く、タレントの酒井法子が覚醒剤所持・使用で逮捕(2009年)された際には、覚醒剤の提供元として名前もあがった「半グレ」起業家の一人だ。塩田氏が反社会的勢力に極めて近い人物であることを見抜けずに、あるいはそれをわかったうえで「弱みを握られる」などして融資したとなれば金融機関側の責任も当然問われることになる。
実際、福岡では福岡銀行や西日本シティ銀行などの有力行が塩田氏からの接触を門前払いしたことがわかっている。しかし九州内の金融機関で1行だけ、主力銀行として取引を続けてきた銀行がある。塩田氏と一山氏の会話のなかでも「佐賀銀」と名前のあがった、佐賀銀行(本店:佐賀市唐人)の博多支店だ。
【特別取材班】
(つづく)関連キーワード
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