画家の吉武弘樹氏が地元で初の個展
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9月3日から7日まで
吉武弘樹氏 個展 福岡県久留米市出身の画家・吉武弘樹氏(32歳)が、9月3日から7日まで、久留米市の石橋美術館で個展を開催する。個展のタイトルは「原風景」。木々や川、山並みといった自然に、進化した近代的な建物などが合わさった油絵で、自然と近未来の人工物の“共存”がテーマの作品が多く展示されてある。
吉武氏は小・中学校を地元久留米で過ごし、高校は長崎・佐世保の高校に進学した。高校3年の春、サルバトール・ダリの絵を見て画家を志した吉武さんは、4年間の浪人を経て、“芸術の東大”とも言われる東京藝術大学美術学部絵画科に入学した。芸術界の天才が集う同大学で、真面目な吉武氏は作品制作にひたすら没頭した。現在のような絵画スタイルとなったのは、大学4年時に、地元・久留米に帰省した時のこと。「ふと地元を散策していて、筑後川を緑が挟み、市役所やマンション、その向こうに連なる耳納連山を見ました。高校の時から久留米を離れていました。たまに帰ってきて空を見上げれば、とても広く感じました。それを見た瞬間、『こういうのをベースに絵が描けたらいいな』と感じたのがキッカケです」と吉武さんは語る。自分らしい絵を書けるのは、故郷・久留米しかないと思った。以後、故郷で見た風景をモチーフとした作品を多く手がけるようになった。大学は首席で卒業、大学院も首席で修了
福岡県久留米市出身の画家・吉武弘樹氏 吉武氏は2009年に同大を卒業、その後、同大大学院に進学し、11年に同大大学院美術研究科修士課程絵画専攻を修了した。現在は東京都江東区に在住。芸術系の予備校で講師を行いながら、個展を開催している。今回は地元での初めての個展。久留米は画家の大先輩の青木繁氏、坂本繁二郎氏、古賀春江氏らの出生地でもある。多くの画家を排出する久留米市出身の吉武さんにとって、地元開催は念願のことであった。
吉武氏は、物腰がとても柔らかい好青年である。極力地平線を生かした作風で、パノラマのように横長の作品であるのが特徴で、人間の力で進化する近未来の造形物などが登場する。近未来の造形物のなかにゴジラのような怪獣や虫などが登場する。「小さい頃から特撮物の映画などが好きだった」と語る吉武氏の作品は、自然と近未来のモチーフに怪獣が不思議なアクセントとなり、見る者の心をも和ませてくれる。とくに久留米市出身の人たちには懐かしさを感じることができ、地元の人々は親近感の沸く作風となっている。
謙虚な人柄であるが、吉武さんの大学の卒業作品は台東区長賞を受賞した。これは大学の油絵と日本画の部門で各一名ずつ選出され、首席で卒業したものだけに与えられる賞である。また、同作品は同年平山郁夫賞を受賞。吉武氏は大学院の修士課程も首席で修了した。12年には第8回世界絵画大賞展に入選。今後も楽しみな新鋭の画家の一人となりそうだ。【矢野 寛之】
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