2024年11月24日( 日 )

韓国経済が抱えている問題(前)

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日韓ビジネスコンサルタント 劉 明鎬 氏

 景気動向指数とは経済活動のなかで、景気に敏感に反応する指標の動きを統合し、景気の現状把握および将来予測に役立てるために作成されているものを指す。

 韓国の統計庁が発表した10の景気動向指数のうち、半分以上が景気の減速を示した。景気が上向いているという指数はまったくなく、韓国経済にとって厳しい状況が4カ月も続いている。

 統計庁によると、今年7月を基準に、10の景気動向指数のうち、サービス生産指数、小売業販売額指数、工事既成部分払い額、就業者数、企業景気予測指数、消費者期待指数など、6つの指数が以前と比べ減少を示した。今後の景気を占う景気先行指数さえ、下降に転じているという。とくに、7月の景気動向指数の8項目中、輸出入物価比率を除いた7項目はマイナスを記録した。

 統計庁は景気のピークは2017年9月だったとし、今年8月まで景気は23カ月間連続して下降し、不況期間において、過去3番目の長さになるようだ。また、今回の不況は歴代最長記録と言われている29カ月間(1996年3月~1998年8月)の記録を更新するのではないかと懸念されている。

 韓国経済がこのような状況に陥ったのには、米中貿易戦争、日韓の対立など、いくつかの外部要因が深く影響しているのは間違いない。また、外部要因だけではなく、韓国経済が抱える構造的な問題も今回の不況に深く影響しているのではないだろうか。今回はそれを取り上げみよう。

 まず、韓国経済の大きな問題の1つに少子化問題が挙げられる。韓国の合計出産率は0.98を記録し、1を下回っている。すなわち世界で一番出産率が低い国となっている。

 出産率の下落は経済の活力を失わせ、その結果、就職口も、所得も減少させるという結果を招いてしまう。人口に占める生産年齢人口の比率においても、韓国の減少スピードは世界一である。現在のような状況が続けば、韓国では12年間で生産年齢人口の10%が減少することが予想されている(日本では生産年齢の10%減少に17年かかっている)。少子化は需要の減少、生産年齢人口の減少をもたらし、経済を委縮させていく。

 韓国経済のもう1つの大きな問題は高齢化である。2018年7月、韓国の65才以上の高齢者の比率は14.3%を占め、韓国は高齢社会となった。また2026年には高齢者の比率が20%を上回ることが予想され、超高齢社会になる。

 問題は高齢者の貧困問題である。韓国には日本にくらべて老後の対策が不十分な高齢者が多く、それが社会問題となりつつあり、今の現実を反映してか、リタイア年齢も韓国ではすでに高くなっている。

 韓国の実質的なリタイア年齢は73才で、OECD加盟国の平均リタイア年齢である65才と比較すると、韓国人は8年間余分に働いていることになる。老後対策ができていないので、高齢者になってもリタイアできず、ずっと仕事をするのが現実となっているわけだ。

 日本のようにリタイアした後も、嘱託社員で仕事をするような慣例が韓国にはないので、専門職を除けば、リタイアした大多数の人は、どうしても飲食店経営など、自営業を営むことになる。韓国経済の自営業比率は全体就業者の25.4%で、他国に比べて、その比率が格別に高いのには、そのような背景がある。

 一方、旺盛な消費者であるはずの若い人はというと、なかなか就職ができず、将来の顧客となる子どもの数は、出産率が世界一低いため減少を続けており、自営業の現実はそんなに甘くない状況である。

(つづく)

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(後)

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