インド市場は本当に魅力的な市場なのか?(前)
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日韓ビジネスコンサルタント 劉 明鎬 氏
グローバル企業によるインド市場への進出が加速している。現在のインドの人口は世界2位の13億4,000万人で、2024年ごろには中国を追いぬいて人口世界一になることが予想されている。
インド国民の平均年齢は29歳と若く、生産可能人口の比率も、現在は66%だが、2035年には68.4%に伸びることが見込まれており、生産と消費両面において、インド市場は魅力的である。
アジアからみて、インドは地理的に中東、アフリカ、欧州などへの中間拠点になり得るので、アジア各国はインドに生産拠点をつくり、インド市場はいうまでもなく、これらの国への供給を考えている。
それに、インド人は数学が得意で、優秀な研究員や技術系の人材が多く、世界で3番目にベンチャー企業の活躍が旺盛な国で、すでに3万9,000社以上のスタートアップ企業が活動している。インドにグローバルベンチャーキャピタルは投資を増やしており、昨年のインドへの海外直接投資額は約35兆円で、中国への投資よりも金額的には大きくなっている。
そのような環境下、企業価値が10億ドルを超すユニコーン企業がインドにはすでに21社存在する。ユニコーン企業の数では、中国(206社)、米国(203社)についでインドは3位となっている。ソフトバンクの孫正義会長は "2024年までインドのスタートアップ企業に100億ドルを投資する"と発表した後、インド宿泊チェーンの最大手であるオヨ(OYO)とタクシー配車アプリのオラ(Ola) などに80億ドルを投資した。
インドがなぜ世界から注目されるようになったのか。インドは「人口大国」で将来が有望視されていたが、外資企業の進出を阻むさまざまな阻害要因が存在していた。しかし、2014年に同国の首相に就任したナレンドラ・モディ首相はインドのすべてを改革している。
2014年に発足した国家改革委員会(NITI Aayog)を中心に、国家発展のロードマップを作成し、それをベースに改革を進めている。改革は国政の全分野にわたり、継続的に推進されている。このような努力の甲斐があって、世界銀行の企業環境指数(DBI) 評価で、インドは2016年の130位から2018年には77位となり、ビジネス環境が改善されつつある。
ビジネス環境が改善されることによって、インドへの海外直接投資も増加し、毎年400億ドル以上の投資が行われている。モディ政権が発足した2014年以降、インド経済は順調に伸長し、2018年4〜6月(第1四半期)には、GDP成長率8%という右肩上がりの驚異的な数字も記録した。
インドの産業構造をみると人口の半分以上が農業に従事しており、製造業のインフラは未整備だった。ところが、モディ首相は製造業の育成と、デジタル政策をベースにしたスタートアップ企業の育成を経済発展の二本柱に掲げ、インドの経済成長をけん引してきた。その結果、海外直接投資も増加し、スタートアップ企業のなかからユニーン企業が誕生するようになったわけだ。
(つづく)
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