イメージセンサー分野でソニーに挑むサムスン(後)
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日韓ビジネスコンサルタント 劉 明鎬 氏
自動車向けのイメージセンサーは2015年にはイメージセンサー全体の3%を占めるに過ぎなかったが、2020年には14%くらいに成長するものとみられる。しかし、自動車に使用されるイメージセンサーは、5年以上の耐久性が求められるし、開発の初期段階から完成車メーカーを協業しないといけないなど、厳しい基準が要求されるため、現在は業界1のソニーでもなく、業界2位のサムスンでもない、オンセミコンダクタという会社がシェア1位となっている。
今後はバックミラーの代わりに、イメージセンサーが使われるようになると言われており、目としての役割を担うイメージセンサーの需要が増えていくことは間違いない。
イメージセンサー市場は、今後メモリ市場と比肩できるような市場になるとも言われている。現在市場シェアはソニーが51%で一位、サムスンが18%で2位となっている。しかし、サムスンはメモリの覇者から2030年にシステム半導体で世界1位になることを宣言し、まずはシステム半導体のなかでも、イメージセンサーに狙いを定めている。
現在までソニーはイメージセンサーの覇者で、中国のスマホメーカーは、ソニーのイメージセンサーを使っていた。ソニーは光学技術において、優れた競争優位性をもっていたことはいうまでもない。しかし、サムスンは光学技術では、ソニーに遅れを取っているものの、半導体製造技術においては、世界最高の技術をもっている。とくに、超微細工程技術においては、サムスンの右に出る会社はない。イメージセンサーの画素数が増えれば増えるほど、画素間の干渉現象が増加し、ノイズが発生しやすくなる。サムスンはこのような問題を解決することに自信をもっている。
ソニーの事業部門中、一番大きな利益を出しているのはイメージセンサー部門であり、今後成長が見込まれる市場なので、ソニーも手をこまぬいているわけではない。ソニーも12年ぶりに1兆700億円を投資し、工場の増設を計画している。ソニーもサムスンの追撃に対し危機感をもっているのだ。
サムスンは画素数の競争において、ソニーを追い抜いたことに自信を深めている。もちろん、技術開発に成功しただけでは、それほど大きな意味をなさないが、今までソニーを採用していた国内のライバルLGも、同社のプレミアムスマホV50シリーズにサムスンのイメージセンサーを採用すると発表した。LGだけでなく、世界4位のスマホメーカーであるシャオミも、世界の5位のオッポも、サムスンの1億800万画素のイメージセンサー採用を検討中だ。このように、今までソニーの牙城だった中国市場の一角をサムスンが崩し始めている。
アップルのアイフォン11には、ソニーのイメージセンサーが採用されているが、そのアイフォンも近い将来サムスンのイメージセンサーを採用するかもしれない。
サムスンはデジタルカメラ事業を国内の他グループに数年前に売却し、イメージセンサーの開発に焦点を合わせてきた。その結果がこのようなかたちで現れ始めている。今後どのような展開になるのか市場から目が離せない。
(了)
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