2024年11月23日( 土 )

『脊振の自然に魅せられて』「道標整備登山」(前)

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道標を磨くSとN
道標を磨くSとN

 西南学院大学ワンダーフォーゲル部の学生およびOB・OGと早良区役所、市民の共働で2008~2013年の5年間で脊振山~三瀬峠間に70本の道標を設置した。

 道標は野晒しなので、10年も経つと苔が生えたり、汚れたりして劣化する。また日当たりが悪く湿気のある場所にある道標の一部は支柱が腐食し始めている。

 2017年〜2018年の2年間で、脊振の自然を愛する会で登山者の道迷いが予想されるポイントに樹木に固定した小型道標を取り付けた。私自身、たまにこの小型道標に助けられている。

 11月なかば、登山ショップのオーナーであるUを訪ねた。毎年、山開きの協賛をいただいていることもあり、お礼を兼ねて私の写真集「脊振讃歌II」を謹呈した。

 Uは最近、登山教室で小爪峠ルートを歩いている。「ルートはどうでしたか?」と尋ねると「荒れていますね」という答えが・・・。私が「小型道標を取り付けていますけど」と伝えると「外れかけているものがある」ということだった。

 小型道標を取り付けてから2年、どうなっているか気になっていたので、副代表でワンゲルの先輩でもあるTとともに11月29日(金)に整備に行くことにした。ワンゲルの後輩2人にも連絡を入れるが、両人とも都合が悪いとの返事。

 2人だけでは寂しいので、女性会員のSを誘う。彼女は早良区役所の元課長(昨年退職)の奥さんで、山で偶然出会い、会員になってもらった。「ご友人も誘ってください」と伝えると、「友人と2人で参加します」という返事が。Sに「道標を磨くブラシと1Lの空のペットボトル2本を持参してください」と伝え、当日は脇山のワッキー主基の里(以下ワッキー)で午前8時30分に待ち合わせることにした。

 先輩のTを私の車で迎えに行き、ワッキーに到着した。ワッキーの責任者Mに予約してもらっていた写真集を届けに行く。その時、Mは1人の男性と歓談中だった。Mから歓談相手のPを紹介される。Pは登山口となる湯の野バス停近くに住んでいるという。

 その後、女性陣2人を私の車に乗せ、登山口へと向かう。駐車場の100m手前の道が昨年の豪雨で崩落しているので、近くの集落にある空き地に駐車しようとしたが、通りがかりの車から「×」のサインが。「どこかに駐車スペースはありませんか」と尋ねると湯の野のバス停の1つ手前にあるという。

 車を停めて再びここに戻って来るには1時間はかかるので、ワッキーの Sに電話をいれ「どこか停められる場所はありませんか」と尋ねた。すると、すぐに先ほど紹介されたPに連絡してくれた。

 ほどなくして、Pが上の畑から軽トラで降りてきた。Pの先導により3分ほど下ると1軒の家に着いた。Pが管理している建物だそうで、ここに停めていいとのこと。「ありがとうございます」とPにお礼を言い、仲間のところへ戻る。

 いよいよ登山開始である、駐車場所探しに手間取ってしまい、30分はロスをした。時計を見ると午前10時になっていた。

 登山口の道標を目にした。ずいぶん汚れている。「ここは帰りに磨きましょう」と言い、山道に入る。山道に入るとすぐに倒木が道を塞いでいるのがわかった。「切る?」とTが尋ねてきた。よく見ると手鋸で切れる太さだったので、持参した鋸で倒木を切り先に進む。林道脇に立てた道標2本が現れる。「ここも帰りに磨こう」と言い、さらに先へと進んだ。

 小爪峠ルートには沢の渡渉が数カ所ある。Sの友人 Nの足取りがおぼつかないので、彼女に目を配りながら登山道を進む。やがて苔で汚れた小型道標が現れた。女性陣2人はペットボトルの水をかけ、ブラシで手早く磨いてくれた。めったにない経験ということもあり、楽しそうな様子だった。

(つづく)
2019年12月3日
令和元年度 環境省自然歩道関係功労者賞
脊振の自然を愛する会
代表 池田 友行

(後)

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