ブロックチェーン技術でフェイクニュースに騙されないように(後編)
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NetIB-Newsでは、「未来トレンド分析シリーズ」の連載でもお馴染みの国際政治経済学者の浜田和幸氏のメルマガ「浜田和幸の世界最新トレンドとビジネスチャンス」から、一部を抜粋して紹介する。今回は、2019年12月27日付の記事を紹介する。
現在、ネット上のフェイクニュース真贋識別ソフトの開発が進んでいるようだが、完成すれば、フェイクニュースの発信元を特定し、ブラックリスト化できるようになる。そうすれば、偽情報で世論をかく乱したり、誘導したりする動きを未然に防ぐことが可能になる。
アメリカの有力新聞「ニューヨークタイムズ」ではブロックチェーン技術を活用し、写真や動画の信ぴょう性を確認するシステムの導入を図っている。メディアとして、そうした取り組みを行っているのは同社が初めてだ。今後は、そうした対策を講じなければ、一層、読者離れが進むに違いない。あらゆる写真や映像がいつ、どこで、誰によって撮られたものかを、ブロックチェーン技術で紐付けするのである。改ざんや加工を加えれば、即座にそのことが判明する仕掛けに他ならない。
実は、この分野では中国の動きが素早い。何しろ、最も潤沢な資金を投入しているのは中国だからである。2018年の時点で、中国は300億ドルをAIの研究開発につぎ込んでいる。一方、アメリカの政府や投資ファンドが投入している金額は100億ドルに満たない。
現状で行けば、AIの世界では中国がアメリカを押さえることは避けられそうにない。中国は口先だけで「AI覇権国家を目指す」と訴えているのではなく、実際に資金と人材を最大限に生かしてAI国家の建設に着手しているのである。スタンフォード大学の人間中心人工知能研究所(IHCAI)では「今後10年間で1,200億ドルを投入しなければ、中国とのAI開発競争に勝てない」と危機感を露わにしている。というのも、中国ではすでにAIを全面的に生かした巨大な実験都市が誕生しているからだ。
オバマ政権時代にデータサイエンティストとして活躍したパティル氏曰く「中国は2030年までに科学と安全保障の分野でアメリカを追い抜く。アメリカは中国にAIの主導権を譲り渡すことになるだろう」。そうした現状認識が強まれば強まるほど、アメリカによる中国封じ込め政策は強化される。その結果、米中の技術覇権争いが軍事的衝突に発展する可能性が高くなる。
中国の習近平国家主席は2019年10月、「中国はブロックチェーン技術で世界最強の情報国家を目指す」と宣言した。ビジネスへの応用を最優先するとのことだが、中国独自の戦略的発想も見え隠れする。デジタルID社会を建設するというわけで、人やお金、そして情報の流れを中央政府がしっかり把握しようとする野心的な試みだ。
要は、「IoT」と言われるように、インターネット・オブ・シングスの普及した社会では全ての物がインターネットで繋がる。その次に来るのは「IOB」である。これはインターネット・オブ・ビヘイビアーのこと。顔認識装置と一体化させ、人の行動(ビヘイビアー)をすべて監視する社会である。
※続きは12月27日のメルマガ版「ブロックチェーン技術でフェイクニュースに騙されないように(後編)」で。
著者:浜田和幸
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