【BIS論壇No.309】「2020年の国内外の動向」
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NetIB‐Newsでは、日本ビジネスインテリジェンス協会会長・中川十郎氏の「BIS論壇」を掲載している。今回は2020年1月3日付の記事を紹介。
波乱万丈の2020年が明けた。2020年は国内外における政治、経済に大きな変革が予想される。
国内にあっては安倍内閣の帰趨が問題となる。いつまでも政権の嘘や公文書隠し、公文書棄却、原発事故隠しが通るわけでもあるまい。「桜を見る会」の招待者名簿棄却は「森友学園」「加計学園」の嘘、ごまかしと公文書改ざん、公文書棄却、防衛省日報隠しと同系列であろう。また年末に発覚した「IR」わいろ問題も長期政権の安部内閣のたるみと緩み、立法府の国会無視など国民を欺瞞していることの証左であろう。
「社会の木鐸」たるべき日本のメデイア、ジャーナリズムの劣化も目を覆うばかりだ。さらに経団連をはじめとする財界の余剰金蓄積、従業員への利益分配、最低賃金の引き上げなどを拒み、非正規雇用が40%にも達するという、異常な雇用形態で日本の貧富の差が急速に拡大。年間出生が80万人台に達していること。GDP Per Capitaでは世界の30位内外に低落していることなどから日本の低迷、停滞は明らかである。かかる観点から筆者は日本の将来には非常に悲観的である。
目を世界に転ずると、米国のトランプ政権の「アメリカファースト」、英国のEUからの1月末の脱退、イラン、トルコ、北朝鮮問題。米中貿易戦争、WTO(世界貿易機関)の機能不全、中国の「一帯一路(B&RI)」の躍進、それに対抗する米国、豪州、日本、インドによる「自由オープンなインド太平洋(FOIP)」構想、インドが脱退を模索中の「東アジア地域包括的経済連携)」RCEP)」などアジアでは自由貿易圏構想が複雑に絡みつつある。
このように2020年は台湾総統選挙、香港問題、中国、ロシア問題など波乱万丈の年となりそうである。日本もオリンピック後の景気下降が予想される。かかる情勢下、日本はオリンピック後を見据えた、独自の、経済、政治戦略が求められる。
2020年はさらに5Gの年となる。AI, ロボット、IoT, ドローン、EV, GAFAの躍進など世界はDigital Ageの激動期を迎える。
問題を抱える日米貿易協定は1月1日に発効した。TPP11も動き出している。さらに米中通商合意は15日著名されるとのことだが、米中貿易摩擦は米中覇権争いの形相を呈しており、楽観は禁物である。
かかる環境下、BISにおいては本年は、過去5年にわたる3カ月ごとの「再生エネルギ‐研究部会」の活動に加え、「中国、台湾との環境、農業新ビジネス開拓」、DEVNET Internationalとの「SDGs」プロジェクト協力、健康、医療分野での「国際伝統・新興医療融合協会」「IoT、5G、EV、先端技術」「茶道、華道、演劇、音楽などでの外国との文化交流」など具体的な活動に全力を注ぎたいと考えている。興味ある協会会員各位の積極的なご参加とご協力を年頭に当たり切望する次第である。
<プロフィール>
中川 十郎(なかがわ・ じゅうろう)
鹿児島ラサール高等学校卒。東京外国語大学イタリア学科・国際関係専修課程卒業後、ニチメン(現双日)入社。海外駐在20年。業務本部米州部長補佐、米国ニチメン・ニューヨーク開発担当副社長、愛知学院大学商学部教授、東京経済大学経営学部教授、同大学院教授、国際貿易、ビジネスコミュニケーション論、グローバルマーケティング研究。2006年4月より日本大学国際関係学部講師(国際マーケティング論、国際経営論入門、経営学原論)、2007年4月より日本大学大学院グローバルビジネス研究科講師(競争と情報、テクノロジーインテリジェンス)関連記事
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